【愛知杯(G3)展望】「母の代わりにG1馬に」…川田将雅アートハウスが再始動

アートハウス

 14日、中京競馬場では牝馬限定のハンデ戦、愛知杯(G3)が行われる。目下1番人気が5連敗中で、難解なレースを制するのは果たしてどの馬か。

 ハンデにもよるが、戴冠に近いのはアートハウスとマリアエレーナの2頭だろう。

 アートハウス(牝4歳、栗東・中内田充正厩舎)は、昨年のオークス(G1)で2番人気の支持を集めたが、結果は7着。秋は今回と同じ中京芝2000mのローズS(G2)を勝利し、秋華賞(G1)に挑むも5着に敗れた。今回はそれ以来の実戦となる。

 陣営は秋華賞で特別な思いを抱いていたに違いない。アートハウスの母パールコードは同じ中内田厩舎が管理。川田将雅騎手とのコンビで16年の秋華賞に出走するも2着に惜敗し、古馬になってからも重賞には手が届かなかった。

 そういう背景もあって、6年越しの雪辱を誓った前走は、いつも通りの積極策で道中は3~4番手の好位を追走。早めに仕掛けて直線半ばでいったん先頭に立ったが、最後は春の実績馬に後れを取った。

 川田騎手が「お母さん(パールコード)の代わりにG1馬にしてあげたい」という思いを実現するためにオークスでは桜花賞馬のスターズオンアースから乗り替わったほど。母は古馬になって伸び悩んだが、娘は更なる成長の余地を残しているのか。再始動となる年明け初戦は試金石となる。

マリアエレーナ 撮影:Ruriko.I

 そんなアートハウスの前に大きく立ちはだかるのがマリアエレーナ(牝5歳、栗東・吉田直弘厩舎)だ。

 2歳秋のデビューからマイル路線を中心にコンスタントに使われていたが、3歳夏以降は中距離にシフト。これを機にめきめきと頭角を現し、順調に歩を進めてきた。

 昨年は初戦の愛知杯で2着、マーメイドS(G3)で2着に入ると、2走前の小倉記念(G3)は、ヒンドゥタイムズに5馬身差をつけて圧勝。後にエリザベス女王杯(G1)を制したジェラルディーナも寄せ付けなかった。

 その後はぶっつけで天皇賞・秋(G1)に挑戦。最初のコーナーで進路が狭くなる不利があり、位置取りがやや後方になってしまったが、それでも強豪牡馬相手に最後まで踏ん張って7着に入線し、改めて能力の高さを示した。

 それ以来となる実戦は、1年前にアタマ差で2着に惜敗した舞台。昨年は53kgの軽ハンデの恩恵もあったが、今年は重賞ウイナーとしてトップハンデの可能性もあるだろう。

 420kg台の小柄な馬だが、前走で56kgはこなせることを証明済み。JRAでは今年から最低負担重量が1kg引き上げられた影響もあって、最低でも56kgは背負わされるだろう。この馬にとっては斤量もカギを握ることになりそうだ。鞍上はコンビ通算5戦3勝と相性のいい松山弘平騎手が引き続き務める。

ルビーカサブランカ 撮影:Ruriko.I

 1年前の当レースでマリアエレーナを破ったルビーカサブランカ(牝6歳、栗東・須貝尚介厩舎)は、1986~87年ピーターホーラー以来の愛知杯連覇が視界に入る。

 昨年は3勝クラスを勝ち上がったばかりで52kgの斤量も手伝い7番人気でV。その後は牝馬限定重賞で馬券圏外が続いていたが、前走のチャレンジC(G3)で2着に好走し、復調の兆しを見せた。今回は福島牝馬S(G3)以来、5戦ぶりに武豊騎手との再コンビで、1年ぶりの美酒を味わえるか。

 アンドヴァラナウト(牝5歳、栗東・池添学厩舎)は、3歳時にローズSを勝ち、秋華賞でも3着に好走。昨年の愛知杯では、1番人気に支持されるも11着に大敗した。

 レース後、陣営は「ワンターンの方が合っている」とコーナー4つのコースを敗因に挙げ、その後は阪神牝馬S(G2)2着、府中牝馬S(G2)3着などワンターンの牝馬限定重賞で結果を残した。ところが、前走・エリザベス女王杯は久々に4つのコーナーを回るコースで、ブービー17着に惨敗。昨年の借りを返すべく、再び愛知杯に矛先を向けてきたが、D.イーガン騎手との初コンビで変わり身を見せることはできるか。

 ルージュエヴァイユ(牝4歳、美浦・黒岩陽一厩舎)は、昨年のオークスで6着に健闘した素質馬。夏を休養に充て、秋に2勝クラスと3勝クラスを連勝してオープン入りを果たした。満を持して臨むオークス以来の重賞で自慢の豪脚を披露したい。

エリカヴィータ

 昨年4月のフローラS(G2)でルージュエヴァイユに完勝したエリカヴィータ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)は、その後がパッとしない。オークスで9着に敗れると、ぶっつけで臨んだ秋華賞が13着、さらに前走のターコイズS(G3)は9着と低迷している。“牝馬の名門”国枝厩舎に打開策はあるか。

 この他には、前走・福島記念(G3)2着のサトノセシル(牝7歳、美浦・堀宣行厩舎)、中日新聞杯(G3)3着のアイコンテーラー(牝5歳、栗東・河内洋厩舎)、これが重賞初挑戦のサンテローズ(牝6歳、栗東・西村真幸厩舎)なども好走して不思議はない。

 今年の牝馬重賞路線を占う上でも重要な愛知杯。発走は14日の15時35分を予定している。

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