JRA武豊のシンザン記念勝利はリーディング獲得のサイン!? 福永祐一の引退も起爆剤の予感

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 注目の3歳重賞シンザン記念(G3)は、ディープインパクト産駒のラストクロップ・ライトクオンタムが勝利した。鞍上の武豊騎手はデビューから37年連続で重賞制覇の偉業を達成した上にJRAの重賞勝利数はなんと350なのだから恐れ入る。2023年は幸先良いスタートになったのは間違いない。

 そしてシンザン記念を勝利したことは、武豊騎手にとって大きな追い風になるかもしれない。今回の勝利でシンザン記念を通算8勝としたのだが、過去7回を振り返ると、そのうち6回は同年のリーディングジョッキーも獲得。さらに7回すべてでJRA年間100勝以上を記録しているのである。

■武豊騎手のシンザン記念勝利と年間成績

1997年 シーキングザパール 168勝 ★リーディング獲得
1999年 フサイチエアデール 178勝 ★リーディング獲得
2002年 タニノギムレット  133勝 ★リーディング獲得
2003年 サイレントディール 204勝 ★リーディング獲得
2004年 グレイトジャーニー 211勝 ★リーディング獲得
2005年 ペールギュント   212勝 ★リーディング獲得
2015年 グァンチャーレ   106勝
2023年 ライトクオンタム  ?


 1997年はJRA記録となる168勝を記録し、1999年も記録を更新する178勝。2003年には初の年間200勝超えとなる204勝を記録し、翌2004年は211勝、2005年も記録を更新して212勝に到達。そして2009年を最後にJRAで100勝未満の成績でしかなかったが、2015年は復活の106勝を挙げた。これらの成績からも、武豊騎手にとってシンザン記念は縁起のいいレースといえるだろう。

 しかもシンザン記念を勝利した年は、1997年エアグルーヴで天皇賞(秋・G1)、1999年アドマイヤベガ、2002年タニノギムレット、2005年ディープインパクトで東京優駿(日本ダービー・G1)を3勝、2015年エイシンヒカリで香港カップ(G1)などビッグレースを勝ちまくっている。今年はライトクオンタムで大仕事をやってのけるかもしれない。

 今年のシンザン記念を勝利したライトクオンタムは、かつて自身が騎乗したディープインパクトの産駒のラストクロップ。日本国内で血統登録されたのは6頭しかいないことを考えると、この勝利は絶大な価値がある。同馬は社台ファームの生産馬で、社台レースホースにて総額5000万円(一口125万円)で募集。牝馬だけに目標は桜花賞(G1)から始まる牝馬三冠となるだろうが、武豊騎手はディープインパクトでクラシック三冠を達成しているだけに、牝馬三冠も達成すれば大きな勲章となるはず。

 とはいえライバル筆頭格のリバティアイランド(阪神JF優勝)は強敵。こちらはノーザンファームの生産馬でサンデーレーシングの所有馬。社台ファームVSノーザンファームの代理戦争というのは興味深い。

福永祐一の引退も起爆剤の予感

 2022年はJRAで73勝だったが、今年は2020年以来の年間100勝超えの期待も高まる。現在JRA通算勝利数は4396勝なので、あと104勝で4500勝に到達するのだ。その記録はぜひ今年中に達成してほしいところ。確かに短期免許で来日する外国人騎手が騎乗馬の質に影響するのは否めないものの、年間100勝を挙げる福永祐一騎手が2月をもって引退するため、福永騎手の騎乗していた馬が回ってくるようなら勝ち星量産の起爆剤になりそう。

 武豊騎手はあと2か月ほどで54歳を迎えるが、冷静なシンザン記念の手綱捌きからもその実力に陰りは見られない。2023年の武豊騎手がシンザン記念の勢いをもってさらなる飛躍を見せ、通算24回目となるJRA年間100勝、そしてリーディング争いに加わる姿を期待したい。

仙谷コウタ

初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。

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