武豊「5連覇」も経験した若駒S、過去にはディープインパクトやブラックタイドも勝利…今週末は4400勝も視野

セレンディピティ 撮影:Ruriko.I

 東西金杯から始まった今年の重賞。3歳重賞もシンザン記念(G3)、フェアリーS(G3)、京成杯(G3)と続いて、明け3歳馬の勢力図がぼんやり見えてきた状態。この後は2月5日のきさらぎ賞(G3)まで3歳重賞の開催はない。

 しかし、今週は3歳戦でも注目したいレースが21日に中京競馬場で開催される。リステッドレースの若駒Sだ。

 ここ5年の勝ち馬の中では、2019年のヴェロックスがクラシックを賑わせたが、今ひとつパッとしないのが現状。だが、過去を振り返ると錚々たる名前が並ぶ。中でも91年に勝ったトウカイテイオー、05年に勝ったディープインパクトは双璧だろう。

 これ以外にも皐月賞(G1)を制したハクタイセイとアンライバルド、日本ダービー(G1)を優勝したマカヒキのようなクラシックホースの名前があるほか、後に天皇賞・春(G1)を制したヒルノダムールも3歳時にこのレースを勝っている。近年の勢いは衰えているものの、出世レースのひとつといえる。

 今年も春のクラシックを見据えた9頭が登録した。それぞれ期待のかかる馬ではあるが、中でもセレンディピティ(牡3、栗東・音無秀孝厩舎)には期待したくなる。

 昨年10月の阪神2000mの新馬戦で素質馬グランヴィノスに後れを取って2着になったものの、翌月の未勝利戦で勝ち上がり。そのまま暮れのホープフルS(G1)へ駒を進めた実力馬である。

 もし勝っていれば、武豊騎手のJRA G1レース完全制覇がかかっていたものの、結果は8番人気で8着。それでも勝ち馬から0.5秒と僅差だったことが評価されてか、『netkeiba.com』の想定オッズでは1番人気に推されている。

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 この若駒Sだが、武豊騎手にとってはゲンのいいレースで、レースが創設された89年にいきなり勝って以来、ここまで7勝で最多勝をマークした得意舞台。続く2番手が池添謙一騎手、和田竜二騎手と川田将雅騎手の3勝なのでダブルスコア以上に差がついている。

 特に02年から06年までは5連覇を達成し、この中にはディープインパクトやその兄でキタサンブラックの父でもあるブラックタイド、リンカーンなどが含まれている。武豊騎手の全盛期とも呼べる時期にマークした記録で、その後は勝ち星がないのは寂しい限りではある。とはいえ13年と20年には3着に入っているなど、好相性なのは相変わらずのようだ。

 また、武豊騎手は今年の競馬初めとなる中山1Rで今年初勝利を挙げたほか、開催5日で重賞1勝を含む6勝を挙げて好スタートを切ったように上り調子。ライトクオンタムに騎乗したシンザン記念で37年連続重賞勝利とJRA重賞通算350勝の記録をWで樹立したばかり。さらに先週2勝を挙げたため、通算4400勝まであと2勝と迫っている。

 残念ながら今年は武豊騎手の若駒S騎乗はなさそうだが、仮に騎乗していればクラシックへの登竜門だけに、有力馬の1頭をお手馬にできたかもしれず、同時に4400勝のメモリアルウィンがこのレースになった可能性もある。特にセレンディピティは前走で騎乗していただけに、コンビが継続していればその道も開けただろう。

 セレンディピティもホープフルSでは不覚をとったが、この出世レースでは巻き返したいところ。偶然ではあるが、血統面で見ると3代母のグレースアドマイヤは96年に日本ダービーを制したフサイチコンコルドの半妹、かつ09年にこのレースを勝って皐月賞を制したアンライバルドの半姉にあたり、クラシックにも縁のある血統だった。

 セレンディピティのクラシックへの一歩としてのこの1戦、なかなか興味深いところだ。

ゴースト柴田

競馬歴30年超のアラフィフおやじ。自分の中では90年代で時間が止まっている
かのような名馬・怪物大好きな競馬懐古主義人間。ミスターシービーの菊花賞、マティリアルのスプリングS、ヒシアマソンのクリスタルCなど絶対届かない位置からの追い込みを見て未だに感激できるめでたい頭の持ち主。

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