JRAシルクロードS(G3)「負担重量ルール改正」が大波乱呼ぶ?「59kg」ウインマーベルに代わって浮上する激穴候補は

 JRAでは今年度から負担重量のルールが改正され、平地競走において概ね1kgの引き上げが実施された。

 15日に行われた日経新春杯(G2)では、ヴェルトライゼンデが59kgを背負って勝利。同日小倉のメインレース、門司S(OP)ではダノンファストとダンツキャッスルの2頭が60kgを背負うなど、出馬表を見て「重い」と感じたファンも少なくなかったのではないか。

 今週末の29日に中京競馬場で行われるハンデ戦のシルクロードS(G3)でもそう感じたファンはいたはずだ。

 月曜日に各馬のハンデが発表されると、登録馬19頭のうち実に牡馬5頭が57.5kg以上、牝馬3頭が55.5kg以上の酷量を背負う。特に目を引いたのは、トップハンデの59kgを課せられたウインマーベルだ。

 前走・スプリンターズS(G1)で2着の実績があるとはいえ、明け4歳馬の59kgはSNSでもちょっとした話題に上った。特に前走の55kgから一気の4kg増には、陣営の不安も小さくないはずだ。

 1986年以降の芝1200mで行われた重賞レースを調べてみたところ、前走から4kg以上負担重量が増えていた馬は「0-2-1-64」というデータも残っている。一瞬の切れ味が求められることも多い電撃6ハロン戦において、負担重量の大幅増は思いのほか堪えるのかもしれない。

 59kgを背負う馬がいる一方で、ハンデに恵まれた馬もいる。

「負担重量ルール改正」が大波乱呼ぶ?

 有力馬の中ではマッドクールが56kgでかなり恵まれた印象。4連勝中の勢いも相まってかなり人気しそうだ。

 最軽量51kgをもらったのはカフジテトラゴン(牝4歳、栗東・武英智厩舎)。前走のファイナルS(3勝クラス)では53kgを背負って8着に敗れているが、軽量ハンデの恩恵を生かすためにも積極策に出る可能性だってある。

 これまで芝1200mのレースにおいて、4角を2番手以内で通過していたレースは「2-2-0-0」とパーフェクト連対を継続している。昨年のCBC賞(G3)でテイエムスパーダが見せたような思い切った競馬ができれば、見せ場を作ってもおかしくない。

 ただ、カフジテトラゴンは現時点で2分の1の抽選対象。出走できない可能性もあるが、たとえ同馬が抽選に漏れても、もう1頭の抽選対象馬がカフジテトラゴン以上の狙い目となる。

 それが8日に行われた2勝クラスを勝ち上がったばかりのドグマ(牡4歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。こちらも準オープンを飛び越えての格上挑戦となるが、武豊騎手を背に快勝した前走は58kgを背負っていた。

 今回は53kgでの出走となり、一気に5kg減。しかも58kgを背負った前走は今回と同じ中京芝1200mを1分8秒7というまずまずの時計で走破していた。

 一般的に負担重量1kgの差は1馬身の差を生むといわれており、単純計算で今回は前走より5馬身は前にいる計算。走破時計にして1秒近く縮める可能性もあるが、そうなれば上位人気が予想される有力馬たちの持ち時計と大きな差はなくなる。

 さらにドグマとカフジテトラゴンを後押しするのは、昨年9月に行われた知多特別(2勝クラス)。このレースを勝ったのは55kgを背負ったマッドクールだったが、53kgのカフジテトラゴンが0秒1差の3着、そして55kgのドグマが0秒3差の5着に入っている。今回の斤量差を考えれば、2頭をマッドクール以上に評価してもいいはずだ。

 抽選を突破して波乱の主役を務めるのは前走比5kg減のドグマか、それとも51kgを背負うカフジテトラゴンか。いずれにしてもハンデ戦らしいゴール前の激戦に期待したい。

中川大河

競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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