JRAシュネルマイスター、サリオスの近親が異次元の切れでデビュー勝ち! 大物候補の登場に陣営も「まだまだよくなる」「今の状態で勝てたのは大きい」
まだまだ混戦模様の3歳世代だが、先週末の日曜東京6Rでデビュー勝ちを決めたナヴォーナ(牡3、栗東・矢作芳人厩舎)は、名前を覚えておきたい1頭だ。
16頭立てで争われた芝1600mのレースを、最後の直線10番手の後方から1頭だけ次元の違う切れで突き抜けた末脚は、将来的に重賞を視野に入れられるだけのポテンシャルの高さを見せたといえるだろう。
「折り合いは問題なく、まだまだ緩いところがありますが、それでいてこれだけの脚を使ってくれましたからね。能力はかなり高いです。これからまだまだ良くなる馬です」
快勝を振り返った坂井瑠星騎手からも、パートナーの素質を称賛するキーワードが多数含まれたコメントが出され、管理する矢作調教師もまた「今の状態で勝てたのは大きいです」「とにかく無事に行ってほしいです」と好感触を掴んだ様子だった。
また、2月デビューと遅かったことについては体質的に弱いところがあり、仕上げきれなかったとのこと。「今の状態で勝てた」という師のコメントには、本格化したらもっと凄い馬になるという青写真を描いているからかもしれない。
確かにナヴォーナには、陣営にそう思わせるだけの血統的な背景もある。父は日本と香港のスプリントG1を5勝した名スプリンター・ロードカナロア。2歳上の半兄に2年前のNHKマイルC(G1)を制したシュネルマイスターがいるだけでなく、近親にも現在4連勝中の注目馬エスコーラ、無敗の三冠馬コントレイルのライバルと期待されたサリオスの名前も見つけられる。
特筆すべきは、スローで流れた前残りしやすいレース展開にまったく左右されなかったことだ。
異次元の切れでデビュー勝ち!
1月末からスタートした東京開催で、3歳馬限定の芝のマイル戦は4レースほどあったのだが、ナヴォーナ以外の勝ち馬3頭は、いずれも逃げ切りか先行抜け出しでの勝利。ただでさえ、前半3ハロンのラップが37秒0だったことを思えば、最終コーナーで2番手につけていた2着馬や3番手にいた3着馬の好走はともかく、遥か後ろにいたナヴォーナにとって逆境だったことは間違いない。
実際、レースの後半3ハロンも34秒0と速く、これを33秒2で突き抜けたのだから価値がある。他の15頭でメンバー中2位の上がりが34秒1なのだから、並の馬にできる芸当ではなかったはずだ。
余裕たっぷりの走りを見た陣営から「距離は1ハロン延びてもいい」という話も出ていたが、指揮官の視線はマイルの大舞台に向けられているようだ。残念ながらクラシックを視野に入れそうな雰囲気ではないものの、今後の成長次第では中距離路線を歩む可能性がまったくない訳でもない。
昨年の2歳マイル王ドルチェモアの陣営も、おそらく警戒したであろう大物マイラーの登場。次走はまだ明言されていないが、遅れてきた大物の登場を予感させるには十分なパフォーマンスだったといえるのではないか。