武豊「凱旋門賞狂騒曲」真っ只中に味わった自身2度目の屈辱…チューリップ賞後に明かしていた「不満」と「不安」とは

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 いよいよ今週末から春のクラシックへ向けた戦いが本格化。4日の阪神では3着以内の馬に桜花賞(G1)への優先出走権が与えられるトライアル・チューリップ賞(G2)が行われる。

 今年、モズメイメイとのコンビで権利取りを狙うのは、オープン競走時代も含めてこのレースを通算5勝している武豊騎手だ。

 このうちの1勝を2006年アドマイヤキッスとのコンビで挙げている。2歳夏にデビューしたアドマイヤキッスは、3戦目にして初勝利を挙げると、半年間の休養を挟み、チューリップ賞で復帰。久々の実戦にもかかわらず、2歳女王テイエムプリキュアに次ぐ2番人気に支持された。

 桜花賞出走には3着以内が絶対という中、テン乗りの武騎手は無理をせずゆっくり構え、序盤は後方2番手を進んだ。向正面で徐々に進出し中団に取り付くと、4角では大外を回って、内で粘るシェルズレイ以下を退けた。

 アドマイヤキッスは、重賞初挑戦、しかも長期休養明けで出世レースを制覇。トライアルの鮮やかな勝ちっぷりに加え、父サンデーサイレンスという血統的魅力と鞍上の存在も相まって、一躍牝馬クラシック路線の主役候補へと名乗りを上げた。

 ところがその後、武騎手が味わったのは自身3年ぶりの屈辱だった。桜花賞を皮切りに出走した牝馬三冠レースすべてで1番人気に支持されたものの、アドマイヤキッスは桜花賞2着、オークス(G1)と秋華賞(G1)はいずれも4着に敗れ、まさかの無冠に終わってしまった。

「実はこの3年前(2003年)にもアドマイヤグルーヴで同じ屈辱を味わっていました。グレード制導入後、牡馬・牝馬それぞれの三冠レース全てで1番人気に支持されながら1つもタイトルを獲れなかったのはアドマイヤグルーヴとアドマイヤキッスの2頭だけ。つまり過去40年間で2回しかない“不名誉な記録”を達成したのがどちらも武騎手だったというわけです」(競馬誌ライター)

 牝馬三冠レースで人気を集めたアドマイヤキッスだが、実はチューリップ賞直後に武騎手は自身の公式サイト内の日記でこんなコメントを残していた。

武豊騎手が明かしていた「不満」と「不安」とは…

「先週は、土曜チューリップ賞はアドマイヤキッスで、日曜弥生賞はアドマイヤムーンで、ともに大事な牡牝のクラシックのトライアルを優勝で飾ることができました」(2006年03月06日付、以下同)

 武騎手は2つのクラシックトライアルに勝利したことを報告。そして「どちらも本番で主役を張れる素材だと思います」としたうえで、「ただ、ボクの本番での騎乗馬も決定みたいな言われ方をされるのは少し抵抗があります」と、不確定情報が流れたことにやや不満げな思いも記した。

 その理由について、「まだクラシック戦線は始まったばかり。トライアルがいくつも残されている段階では、まだ何も決めたくありません」と、本番では別の馬に乗る可能性も残していることを挙げていた。

「結局その年の牡馬クラシックは、アドマイヤムーン(菊花賞はアドマイヤメイン)と、牝馬クラシックはアドマイヤキッスとともに歩みましたが、牡馬にはフサイチジャンク、牝馬にはアルーリングボイスという別のお手馬もいました。

チューリップ賞が終わった時点では、武騎手自身もアドマイヤキッスとアルーリングボイスを天秤にかけており、前者に全幅の信頼を置いていたわけではなかったのかもしれません」(同)

 アドマイヤキッスが牝馬三冠路線を歩んだ06年といえば、ディープインパクトが凱旋門賞(G1)に挑戦し、話題を振りまいた年。そんな“凱旋門賞狂騒曲”の真っただ中、武騎手は牝馬三冠路線では“1番人気3連敗”という屈辱を味わっていた。

GJ 編集部

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