JRA開幕ダッシュ成功からまさかの急失速、乗り替わった馬が好走続きの裏目…弥生賞(G2)勝ち負け想定から「最低人気に転落」の災難
「一年を通して楽しく騎乗できましたし、馬もよく走ってくれました。去年よりひとつでも多く、大きいところも勝てるように頑張っていきたいと思います」
これは1月30日に行われた「2022年度JRA賞」の授賞式でMVJを受賞した戸崎圭太騎手の喜びのコメントだ。最多勝利、最高勝率、最多賞金獲得の三冠で騎手大賞を手にした川田将雅騎手のパーフェクト受賞を阻止した存在感が光った。
冒頭のコメントで「大きいところも勝てるよう頑張っていきたい」と語ったように、MVJの栄誉こそ得たものの、昨年の戸崎騎手の重賞勝ちは2勝。名実ともにリーディングを目指したいという意思の表れだっただろう。
実際、年始の戸崎騎手は開幕ダッシュに成功していた。昨年8勝に終わった1月の成績も今年は2倍近い15勝を挙げ、年始の重賞である中山金杯(G3)をラーグルフで制覇。この活躍を目にしたファンの多くが、今年の戸崎圭太はいつもと違うと感じただろう。
ところが2月はわずか6勝と一気にペースダウン。1月の15勝から半分以下の急失速となってしまったのだから、戸崎騎手にとって巻き返しは急務だ。レースでの騎乗ぶりにこれといって大きな変化は見られないため、これは単なる偶然といえるのかもしれない。
とはいえ、最近の戸崎騎手の流れが必ずしもいい方向に向いているとは言えないことも事実である。
「運も実力の内」ということわざがあるが、少なくとも現在の戸崎騎手は、これの正反対という状況が続いている。先月のフェブラリーS(G1)を制したレモンポップは、戸崎騎手が主戦を任されていた馬ながら、レースではドライスタウトに騎乗し、元パートナーに完敗。先週の中山記念(G2)を8番人気で2着に好走したラーグルフも自身が中山金杯で勝利に導いた相手だった。
継続騎乗が叶わなかった背景に同日の阪神メイン阪急杯(G3)でピクシーナイトとのコンビが決まっていたものの、肝心のピクシーナイトが脚部不安により回避。一歩間違えれば2週連続で騎乗しなかったお手馬に重賞を勝たれる最悪のシナリオまであった。
これだけでも十分にツキがないのだが、今週の弥生賞ディープインパクト記念(G2)においても戸崎騎手の災難は続いた。
勝ち負け想定から「最低人気に転落」の災難
当初、昨年暮れのホープフルS(G1)を1番人気で5着に敗れていたミッキーカプチーノとコンビが発表されたが、その後2戦2勝で若駒S(L)を制したマイネルラウレアとのコンビが新たに報じられた。
弥生賞にミッキーカプチーノの登録がなかったため、おそらくその関係での乗り替わりと見られるが、そのマイネルラウレアも脚部不安が判明したことで回避。最終的にフォトンブルーの騎乗が決定し、何とか不戦敗という事態は避けられたのだが、本馬は『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズによると、10頭立てのレースで最低人気想定の超人気薄という大穴である。
前述2頭がもし出走していたなら、上位人気が確実と考えられていただけに、戸崎騎手の重賞勝ちのチャンスは大きく遠ざかったといえる。このような状況に陥ったことが偶然であることに間違いはないはずなのだが、さすがにここまでツキがないと心配になってくるほどだ。