【日本ダービー想定】打倒ソールオリエンスへ、凱旋帰国「2歳王者」電撃参戦!? 大器スキルヴィング、ハーツコンチェルトら別路線組で一際目立つ存在感
ソールオリエンスによる劇的な大外一気で決まった皐月賞(G1)から早2週、28日に開催される今年の日本ダービー(G1)の陣容がいよいよ固まってきた印象だ。
残すトライアルは今週末のプリンシパルS(L)のみ。NHKマイルC(G1)や京都新聞杯(G2)上位組の参戦もあるかもしれないが、それでも皐月賞馬ソールオリエンス(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)の主役は動かない。
2番人気で迎えた皐月賞は、まさに圧巻のレースだった。
約2か月間続いた中山開催の最終週ということもあって、本馬の1枠1番は大きな不利と言われていた。実際に前回勝ったコントレイル、ナリタブライアンは、そのまま三冠達成したほどの大物だ。それだけに不利を跳ね返して勝利したという事実は極めて重い。同世代の女王リバティアイランドほどではないが、ソールオリエンスにも三冠を期待する声が高まっている。
その一方で、主戦・横山武史騎手の騎乗を絶賛する声も非常に多かった。最内枠からスタートして、最後に大外一気を決めた大胆な騎乗は、若くしてエフフォーリアなどの有力馬と共に数多くの大舞台を経験しているからこそ。約1年ぶりのG1制覇となった今年の皐月賞は、この若手No.1ジョッキーにとっても会心の一鞍と言えるだろう。
しかし、だからこそライバルたちにも逆転の余地があるはずだ。「そうそう会心の一撃ばかり出されてたまるか」というのが、その主張だ。
特に要注目なのは、やはり対戦経験のない別路線組だろう。中でも青葉賞(G2)を勝ったスキルヴィング(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)には、皐月賞組を押し退けて対抗1番手に挙げられるだけのスケール感がある。
ほぼ直線だけでライバルたちを丸呑みにし、逆に3馬身差をつけたゆりかもめ賞(1勝クラス)で頭角を現したスキルヴィングは、続く青葉賞で単勝1.7倍という圧倒的な1番人気に推された。レースでは2着ハーツコンチェルトに食い下がられる思わぬ苦戦を強いられたものの手応えにはまだ余裕があり、レース後に主戦のC.ルメール騎手から「G1ホースだと思います」という力強い言葉が飛び出せば期待は高まるばかりだ。
日本ダービー挑戦にまだ正式な発表こそないが、仮に出走してくればルメール騎手が皐月賞を1番人気で3着したファントムシーフではなく、こちらに騎乗する可能性もある。王道トライアルの青葉賞から未だダービー馬が出てこないことは“競馬の7不思議”の1つだが、今年こそジンクスが破られるかもしれない。
また惜しくも半馬身差で2着だったハーツコンチェルトも、かつては出世レースの東京スポーツ杯2歳S(G2)で単勝1.8倍の1番人気に推された逸材。残念ながら皐月賞は出られなかったが、距離が延びて良さそうな典型的なハーツクライ産駒だけに、こちらも一発逆転の可能性は小さくないはずだ。
別路線組でもう1頭、不気味な馬がいる。ホープフルS(G1)の勝ち馬ドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)だ。
昨年末のホープフルSを単勝90.6倍の14番人気で勝ち、世間をアッと言わせたドゥラエレーデ。その後はクラシック戦線に見向きもせずにドバイ・メイダンのUAEダービー(G2)へ。ダートでは未勝利戦を勝った程度の実績しかなかったが、ここでも下馬評を覆して2着に好走している。
超が付くほど異例のローテーションで参戦してくるため未知数な部分が大きいが、ドゥラエレーデ自身はタイトルホルダーやスターズオンアース、そしてリバティアイランドという芝の大物を出したドゥラメンテ産駒。それだけでなく、母マルケッサは種牡馬として活躍中のサトノダイヤモンドの半妹というスケールの大きな良血馬だ。電撃参戦でダービー馬になっても頷けるだけの要素は揃っている。
一方の皐月賞組では2着タスティエーラ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)を逆転候補の1番手に挙げたい。
単純にソールオリエンスに最も迫った馬ということもあるが、今年の皐月賞は後方から競馬した馬が上位を占めた中、唯一好位から粘り込んだのがタスティエーラだった。毎年、絶好の馬場コンディションで行われる日本ダービーは、基本的には前に行った馬が有利。ソールオリエンスのマークが厚くなるようなら、出し抜けるチャンスもあるはずだ。
ただ、タスティエーラの父は現役時代に屈指の重馬場巧者として鳴らしたサトノクラウン。この世代が初年度産駒となり、欧州よりの血統背景で軽さのある牝馬の活躍こそ目立っているが、牡馬のオープン馬は本馬しかいない。重馬場だった皐月賞だけに、逆に恵まれた可能性はある。
他にも前述した皐月賞3着のファントムシーフも鞍上次第で逆転のチャンスがあるはずだ。4着メタルスピード、5着ショウナンバシットは低評価を覆しての好走だったが、フロックでないことを証明できるか。
世代の頂上決戦へ、今年も日本ダービーがいよいよ迫ってきた。