【日本ダービー】「4勝27敗」でもソールオリエンスの二冠は濃厚? 33年ぶりの珍事に現実味、「内弁慶」の春G1も後押しとなるか

ソールオリエンス 撮影:Ruriko.I

 先週末のオークス(G1)は、最後の直線で異次元の末脚を繰り出したリバティアイランドがライバルを圧倒。昨年のスターズオンアースに続く二冠を達成し、もはや同世代の牝馬にライバルがいないことを印象付けた。このまま無事に秋を迎えることができれば、秋の牝馬三冠はほぼ手中に収めたといえそうだ。

 これに対し、今週末の日本ダービー(G1)で牡馬の春二冠を目論むのは、ソールオリエンス(牡3、美浦・手塚貴久厩舎)だ。2戦2勝というキャリアで挑んだ皐月賞(G1)を4コーナー17番手の後方から突き抜けて勝利。直線だけで16頭を差し切るという離れ業に度肝を抜かれたファンも多かったはずだ。

 その一方で今春のG1は、密かに「内弁慶状態」だったことも一部で話題となった。

 実はオークスをリバティアイランドが勝利するまで、開催場所に所属している馬が全勝していたのである。以下はその一覧だ。

■上半期G1の勝ち馬と所属

フェブラリーS レモンポップ(美浦)
高松宮記念 ファストフォース(栗東)
大阪杯 ジャックドール(栗東)
桜花賞 リバティアイランド(栗東)
皐月賞 ソールオリエンス(美浦)
天皇賞・春 ジャスティンパレス(栗東)
NHKマイルC シャンパンカラー(美浦)
ヴィクトリアマイル ソングライン(美浦)
オークス リバティアイランド(栗東)

 ご覧の通り、オークスで途切れるまで関西のレースは関西馬、関東のレースは関東馬が勝利。モノが違い過ぎた怪物牝馬がこれまでの流れを一蹴してみせたが、関東馬のソールオリエンスを後押しする傾向といえる。

 ただ、過去の日本ダービーにおいて関東馬が苦戦続きだったこともまた事実だ。1992年からフルゲート18頭立てが採用されたのだが、昨年までの31年で関西馬が27勝を挙げているのに対し、関東馬はわずか4勝のみ。「西高東低」が叫ばれて久しいが、これは数字の上でも証明されている。ちなみに20頭以上で行われた最後のダービーは1991年で、この年は大外20番枠に入ったトウカイテイオーが優勝。本馬もまた関西馬だった。

 ただ少し異変が起きているとしたら、今年の日本ダービーにおける関東馬の数が優勢であることだろう。

 現在19頭が登録しており、除外対象のトーセントラムを省いても関東馬は10頭で関西馬は8頭。ダービー出走馬で関東が関西を上回ったのは、フルゲート18頭になってから初のこと。既に皐月賞で関東馬ソールオリエンスとタスティエーラがワンツーを決めたことを考えれば、日本ダービーでも再び関東馬によるワンツーがあっても不思議ではない。

 もしそうなると、アイネスフウジンが優勝して2着にメジロライアンの入った1990年以来33年ぶりの珍事となることもありそうだ。ちなみに当時は関東馬がワンツーどころかワンツースリーを3年連続で決めていた。今年のダービーでも関東馬が3着以内を独占すれば、同じく33年ぶりとなる。

 27対4という数字は苦戦をイメージさせるが、今年は皐月賞で掲示板に入った5頭中3頭が関東馬だったように「東高西低」という可能性もありそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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