「イラ立ちを抑えきれなかった」ソダシ降板だけじゃない。吉田隼人が備品損壊で異例の騎乗停止…“八つ当たり”に至る「最終騎乗」にあったアクシデント
9日、白毛の女王ソダシ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)が放牧に出されるため栗東トレセンから旅立った。
ソダシ陣営にとってこの春は、担当の今浪隆利厩務員が定年のため今月末で退職する特別なシーズンだったが、連覇を狙ったヴィクトリアマイル(G1)で2着、続く安田記念(G1)では7着に沈み、残念ながらタイトルの上積みはならなかった。
吉田隼人騎手が備品損壊で異例の騎乗停止…
だがこの日、それ以上に残念なニュースが飛び込んできた。ソダシの元主戦として有名な吉田隼人騎手が調整ルームの備品を損壊したとして、騎乗停止処分が科せられたのだ。
JRAの公式ホームページなどによると、ソダシが安田記念に出走した4日、吉田隼騎手は阪神競馬場の調整ルームで暴れ、テレビのリモコンやゴミ箱といった居室の備品を損壊。本人に確認したところ事実を認めているという。日本中央競馬会競馬施行規程第147条第19号「競馬の公正確保について業務上の注意義務に違反した者」に該当するため、24日、25日の開催2日間の騎乗停止処分を下したという。
「JRAによると、自身の騎乗などの不満やイラ立ちを抑えきれなかったそうです。確かに、ここまで20勝は、83勝を挙げた昨年を大きく下回るペース。11.9%だった勝率も7.4%まで下降しており、厳しい状況が続いています。
ですが、多くのファンの方が指摘されている通り、やはりソダシとのコンビが解散になったことは、吉田隼騎手にとっても小さくはないと思いますね。
備品損壊があった4日、吉田隼騎手は阪神で騎乗していましたが、メインレースの騎乗がなかったこともあって、ソダシの安田記念をモニタなどで観戦していたと思います。レースは川田将雅騎手が騎乗して7着でしたが、やはり元主戦として思うところはあったと思います」(競馬記者)
記者が話した通り、この春のソダシはデビューから14戦連続で手綱を取ってきた吉田隼騎手とのコンビを解散。ヴィクトリアマイルはD.レーン騎手、安田記念は川田騎手がそれぞれ乗り替わった経緯がある。今回の件は本当に残念という他ないが、SNSなどでは吉田隼騎手の心情を心配するコメントも決して少なくなかった。
“八つ当たり”に至る「最終騎乗」にあったアクシデント
だが別の記者曰く、この日は他にも“引き金”となりそうなアクシデントがあったという。
「実はこの日の阪神最終レース……つまり備品損壊に至るまでの最後の騎乗となったレースですが、吉田隼騎手は単勝1.7倍の1番人気だったクインズエルサに騎乗しました。
スタートを決めて好位のインをキープし、手応え十分に最後の直線を迎えたのですが、前を走っている逃げ馬を外から交わそうとしたところ、隣にいた鮫島克駿騎手のピースフルナイトにフタをされてしまうアクシデント。吉田隼騎手も、なんとか外からこじ開けようとしたのですが、今度は前を走っていた逃げ馬が苦しくなって外にヨレてしまう不運……。
結局、クインズエルサの進路が開いたのはゴール寸前で、すでに勝ったイラーレらが抜け出した後でした。結果は5着と馬券に絡むこともできず、吉田隼騎手も『もう少しスムーズなレースができればよかったんですが……』と悔やんでいました」(別の記者)
実際にレース直後には、単勝1.7倍の大本命馬のアクシデントということもあって、一部のファンからラフプレーや斜行を指摘する声もあった。
だが、2番人気馬に騎乗していた鮫島駿騎手からすれば、最大のライバルに楽な競馬をさせないためのプレーであり、逃げ馬が進路を塞いだように見えたのも、JRAは苦しくなってヨレたことが原因(不可抗力)と判断したのだろう。被害を受けた吉田隼騎手にとっては不満の残る結果だったが、レース後にこれといった処分の発表はなかった。
自身の成績不振に加え、最愛のパートナーだったソダシとの別れ、そして大本命馬を飛ばしてしまった最終騎乗の不完全燃焼……。
吉田隼騎手の状況を鑑みれば同情したくなる気持ちもあるが、やはりそれらも公共の物を壊していい理由にはならない。JRAが発表した騎乗停止処分開始まではあと2週ある。関係者やファンのための“禊の騎乗”としてほしい。
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