過去10年で1番人気が8連敗! 宝塚記念でイクイノックス父を破った名牝も敗戦…高配当の使者は人気薄でも侮れないアノ馬

撮影:Ruriko.I

 残り2週となった3回阪神開催。今週末の18日には牝馬限定重賞のマーメイドS(G3)が行われる。中でも人気を集めそうなのは、前走福島牝馬S(G3)で2着に入ったキセキの全妹ビッグリボン(牝5歳、栗東・中内田充正厩舎)や、同レースで1番人気に推されて5着に敗れたストーリア(牝4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)だろう。

 ただ、ハンデ戦らしく波乱決着が多いのもマーメイドSの特徴だ。過去10年で1番人気が勝利したのは1度のみであり、最後に勝利を挙げたのも9年前。その間にはのちに宝塚記念(G1)でドゥラメンテやキタサンブラックを破ったマリアライトも、1番人気に推されながら2着に敗れている。

 特に過去5年は波乱傾向が強く、10番人気が3勝、7番人気が2勝と大穴決着が続いており、三連単は常に10万円以上の配当となるなど、高配当の決着も珍しくない。
 
 毎年のように波乱が起こるマーメイドSだけに、“格上挑戦”してくる人気薄の4歳牝馬には注意したい。

 3勝クラスから挑戦してくる4歳牝馬は、特に注意が必要な存在だ。19年から21年まで3連勝があるなど、過去10年で最多の4勝を挙げている。同期間の単勝回収率も250%と圧倒的な好成績を残していた。

 これだけ好走する背景には斤量に恵まれやすいことも関係しているだろう。

 しかも、その実力は3勝クラスで上位である必要はない。実際に、21年にマーメイドSを勝利したシャムロックヒルは、前走3勝クラスの寿Sで14着と大敗を喫していたように、大敗からの巻き返しというケースもあった。

高配当の使者は人気薄でも侮れないアノ馬

 今年のマーメイドSにも“格上挑戦”の4歳牝馬は6頭が出走する。人気になりそうな馬もいるが、面白い存在となりそうなのがタガノフィナーレ(牝4、栗東・中村直也厩舎)だ。

 同馬は昨年9月に2勝クラスを突破して以降、G1挑戦の秋華賞は15着、その後も3勝クラスを2戦して16着、6着と精彩を欠いており、『netkeiba.com』が公開している予想オッズにおいても15日時点で12番人気想定とノーマークに近い人気だ。

 しかし、前走初富士S(3勝クラス)を勝利したのは、のちに中山牝馬S(G3)を制したスルーセブンシーズであり、ハイレベルのレースで価値のある6着だったといえそうだ。

 加えて、タガノフィナーレは夏が得意な傾向にある。新馬戦を制したのが6月、以降2勝目は5月、3勝目を9月に勝利していることを考えると、5〜9月の暑い時期で好走も多い。また、タガノフィナーレの父、エピファネイアの産駒はこのレースと相性が良いのも心強い。

 同じエピファネイア産駒で格上挑戦となった4歳牝馬、クラヴェルが21年のマーメイドSに出走。後方から追い込み、勝ち馬をクビ差に追い詰め2着に入っていた。もともと坂のあるコースが得意なエピファネイア産駒だけに、血統的な後押しもありそうだ。

 斤量も最軽量の50キロと恵まれたタガノフィナーレ。毎年荒れるマーメイドSで波乱を巻き起こすのはこの馬かもしれない。

GJ 編集部

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