完全燃焼「ムチ6連打で過怠金」池添謙一と、不完全燃焼「ノーステッキ」鮫島克駿…宝塚記念(G1)2、3着争いのドタバタ劇

池添謙一騎手 撮影:Ruriko.I

 上半期を締めくくる大一番を制したのは、やはり世界最強馬だった。

 25日、阪神競馬場で行われた宝塚記念(G1)は、昨年のJRA年度代表馬で、世界ランキング1位のイクイノックス(牡4歳、美浦・木村哲也厩舎)が快勝。単勝支持率59.9%、単勝オッズ1.3倍の圧倒的人気に応えて、昨年の天皇賞・秋からのG1連勝を「4」に伸ばすことに成功した。

 騎乗したC.ルメール騎手はレース後、「内の馬場は良くなく、安全に乗りたかったです」と最後の直線で大外を回した意図を説明。「大外の馬場の方が良かったです。よく来てくれました」と結果的に馬場が荒れていた内ではなく、外を通る決断もいい方向に転んだようだ。

 そして、そんなイクイノックスにしぶとく食い下がったのが、10番人気の伏兵スルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)だった。

 序盤は無理をせず最後方に待機した5歳牝馬は、4コーナーでも12番手という位置取り。しかし、最後は阪神名物の急坂を力強く駆け上がり、イクイノックスにクビ差まで迫ってみせた。

 騎乗した池添謙一騎手は「4コーナーの手応えは抜群でした。イクイノックスやジャスティンパレスより手応えの良さを感じました」と振り返ったように、直線を向いたときは“勝利”の二文字が目の前にちらついたに違いない。ところが、「ジャスティンパレスの内をすくえると思ったら、外に出てきた馬がいて……。そこで切り替えるロスがありました」と、直線入り口でややスムーズさを欠く場面があったことも明かした。

宝塚記念(G1)2、3着争いのドタバタ劇

「着差(クビ)が着差だけにもったいなかったですね。ただし、池添騎手がスムーズにさばいていたとしても、勝ち馬を捉えることができたかどうかは微妙だったと思います。イクイノックスもゴール前はまだ余裕がありましたから。

池添騎手はロスがあった場面でも焦らず、うまく立て直していました。過怠金1万円を科されはしましたが、ゴール前で見せた“左ムチ6連打”は勝利への執念があったからでしょう」(競馬誌ライター)

鮫島克駿騎手 撮影:Ruriko.I

 一方、制限より1回多いムチ6連打となってしまった池添騎手に対し、スルーセブンシーズから1馬身差の3着に敗れた2番人気ジャスティンパレス(牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎)に騎乗した鮫島克駿騎手には“真逆の誤算”があったようだ。

「ジャスティンパレスは道中でイクイノックスの前方を走っていました。動いていったのは、勝負所でイクイノックスが外から追い上げて行ったところ。置かれまいと、外から並びかけてきたライバル馬に必死に馬体を併せにいきました。

しかし、4コーナーで鮫島駿騎手が右ムチを2発ほど入れたのですが、ハプニングに襲われたのはその直後の3発目を入れようとした時です。鮫島駿騎手の右手からスルリとムチがこぼれ落ちてしまいました。左手に持ち替えるような場面でもなかったので、イージーミスだったといえるかもしれません……。

こうなると、鮫島駿騎手は残り300mを必死に追うことしかできず。最後までイクイノックスに食らいつき、ジェラルディーナを交わすことはできましたが、3着に終わりました。スルーセブンシーズとは1馬身差があったので、もしムチを使えていたとしても逆転まであったかどうか……。いずれにしても悔いは残ったでしょうね」(同)

 2着を確保したもののムチの使い過ぎで過怠金処分を受けてしまった池添騎手と、ムチを使いたくても使えなかった鮫島駿騎手。宝塚記念の2着争いは「ムチ」も明暗を分ける一つの要因だったのかもしれない。

GJ 編集部

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