帝王賞(G1)岩田望来「プラン通り」の会心騎乗に不満ありあり…「大井の直線は長いんじゃ」元JRA藤田伸二氏がダメ出しした理由とは
28日に大井競馬場で開催された帝王賞(G1)は、2番人気のメイショウハリオ(牡6歳、栗東・岡田稲男厩舎)が優勝。同レース史上初となる連覇を達成した。
「ゴールしてからは、勝ったかどうかわからなかったですが、本当に頑張ってくれました」
レース後、クラウンプライドとの接戦をハナ差で制したパートナーを労ったのは鞍上を務めた浜中俊騎手だ。
「最後の直線の伸びが良い馬ですので、その長所を活かすように、前半はゆっくり行きました」と、3コーナー過ぎまで先行勢を前に見ながらじっくり中団を進んだ理由を説明した。
「勝負所で外に出してからは手応えもよかったですし、ラストもしっかり走ってくれました」
浜中騎手が外に出して、ゴーサインを送ったのは残り600mのハロン棒を過ぎた辺り。前方にいたノットゥルノとともに大外を回って一気に先行集団に取り付くと、最後の直線で末脚を爆発させ、粘り込みを図るクラウンプライドをゴール寸前で捉えることに成功した。
これがもし届いていなければ、仕掛けが遅すぎたと批判された可能性もあるが、結果的にはドンピシャのタイミング。そんな浜中騎手よりも約300m早く、向正面中間を過ぎた辺りで動いていったのは、6番人気のハギノアレグリアス(牡6歳、栗東・四位洋文厩舎)と岩田望来騎手だった。
コンビを組んだハギノアレグリアスは、大外12番枠からスタートでやや出負けするもすぐに態勢を立て直し、最初のコーナーまでに中団7番手に取り付いていた。
「道中の雰囲気は良かったです。しっかり折り合いがついて、リズム良く運べました」
岩田望騎手のコメントからは、道中を抜群の手応えで追走していたことがうかがえる。そして「自分から動いていこう、という話をしていて、早めに押し切る形に持ち込んだ.」と、振り返ったことから、向正面で早めに動いて行ったのは、どうやらレースプラン通りだったようだ。
4コーナーでは早くも先頭に並びかけ、直線でそのまま突き抜ける勢いにも見えたが、最後は失速。タイム差なしの接戦を演じた上位3頭からやや離れた4着といえども、G1初挑戦の立場としては、見せ場たっぷりの好内容。この馬に期待していたファンも満足する騎乗に見えた。
ところが、この積極策は、とある人物の目には“早仕掛け”に映っていたようだ。
「大井の直線は長いんじゃ」元JRA藤田伸二氏がダメ出し…
「ハギノ…… 仕掛け早すぎだべ… 大井の直線長いんじゃ マジか…」
レース後、自身のTwitterにそう書き込んだのは、元JRA騎手の藤田伸二氏。帝王賞でハギノアレグリアスを本命にしていたようだ。
「藤田氏はこのレースで6番人気のハギノアレグリアスを本命に挙げていました。高く評価していたのは、前走・平安S(G3)で見せた同馬の末脚。グロリアムンディの2着に敗れたものの、地方一の直線距離を誇る大井なら十分に届くという見立てだったのでしょう。ところが、藤田氏にとっては思いもよらぬ岩田望騎手の早仕掛け。これが前出の不満ツイートにつながったようですね」(競馬誌ライター)
岩田望騎手が仕掛けたタイミングについては賛否あるだろう。ただ、3着のテーオーケインズとは4馬身の決定的な差があったことを考えれば、仮に末脚を温存していたとしても、それほど大きな影響はなかったかもしれない。
いずれにしても、5連勝中のプロミストウォリアには先着を果たし、今後に期待を抱かせるレースぶりだったのは間違いない。いずれ再戦するであろう上位3頭との差を詰めるためにも充実の夏を過ごしたいところだ。