安田記念(G1)イスラボニータに揃った生涯最高の「条件」3年ぶりのG1制覇へ「他界」した大先輩ヤマニンゼファーから受け継ぐ名マイラーの系譜
数多くの人々が関わりあう競馬には、なにかとドラマが尽きない。この春のG1戦線でも毎週のように感慨深いドラマが生まれたが、来月4日に行われる第67回安田記念(G1)に出走するイスラボニータ(牡6歳、美浦・栗田博憲厩舎)もまた、数奇な運命を背負ってターフを駆ける。
最も大きな注目を集めているのは、やはり鞍上のC.ルメール騎手による前人未到の4週連続G1制覇だろう。
実は先週の日本ダービーをレイデオロで制した際、管理する藤沢和雄調教師がルメール騎手に「オリビエ(ペリエ)の方が上手いと思ってたけど、やるじゃないか」と、なかなか際どい賛辞を送った一幕があった。
もちろん悲願のダービー制覇に酔った名伯楽の冗談半分だが、実際に師はペリエ騎手とのコンビで数多くのG1を制しており「世界一の騎手」と認めている。凱旋門賞を3連覇したフランスの大先輩と肩を並べる評価に、ルメール騎手もまんざらではなく「オリビエが(藤沢厩舎の馬で)勝てなかったダービーを勝ててよかったよ」と気の利いたジョークを返した。
そんなルメール騎手は、ここまで14日のヴィクトリアマイル、21日のオークス、そして28日の日本ダービーと3週連続G1制覇中。それは奇しくも、2001年にペリエ騎手が達成した(マイルCS→ジャパンC→阪神ジュベナイルF)と並ぶタイ記録だ。
つまりルメール騎手は先週、名伯楽の言葉で肩を並べたばかりの大先輩を”追い越す”チャンスがさっそく巡ってきたというわけだ。
春の連続G1開催も、今週末の安田記念で最後のため、最高でも4連勝で記録はストップしてしまう。現在絶賛”確変中”のルメール騎手は、無事にMAXまで取り切れるだろうか。1番人気が濃厚なイスラボニータだけにチャンスは充分だ。