悲願のG1制覇に向けて復帰初戦はダート重賞! コントレイル世代の実力馬が路線変更で新たな活路を見出すか
「何とかG1を獲らせてあげたい」と木村哲也調教師が切望して迎えた昨年の宝塚記念(G1)では、発走直前に右前肢ハ行を発症し、まさかの発走除外となった。その後、軽度の骨折も見つかり、気付けば1年以上の休養を余儀なくされた。
そのオーソリティだが、本馬を所有するシルクレーシングから休養明け復帰戦に8月6日のエルムS(G3)を予定していることが明らかにされた。久々の実戦となるが、7月上旬には帰厩して乗り入れを開始しているとのことで陣営の必勝態勢が伺える。
ただ、これまでの全13戦は芝コースのみだった本馬にとって初のダート戦となる。これは「脚元のことも考慮して」とのことだが、実直馬の復帰戦となるだけに注目である。
血統背景的には歓迎?
オーソリティの父オルフェーヴルの産駒には、ドバイワールドC(UAE・G1)を制したウシュバテソーロを筆頭にブリーダーズCディスタフ(米G1)を制したマルシュロレーヌなど、海外のビッグタイトルを手にした馬や、かしわ記念(G1)を制したショウナンナデシコなどダート路線での活躍馬も多い。
他にも重賞級だとギルデッドミラーやラーゴムなど、ここ最近では芝からダートに転向したオルフェーヴル産駒の“一変”と言っていい活躍が目立っている。小柄だった父とは対照的に、これらに共通するのは490kg以上の馬格を誇ることだが、500kgを超える大型馬オーソリティにも当てはまりそうだ。
一方で母ロザリンドは名牝シーザリオの娘であり、全兄にエピファネイア、半弟にはリオンディーズやサートゥルナーリアがいる一族で、オーソリティからすれば、種牡馬入りした3頭は全ておじにあたる。
芝コースで活躍したおじたちと同じく、本馬もこれまで芝重賞4勝と活躍したことを考えれば、今回の路線変更が今後の馬生にもつながってくる大事な一戦となりそうだ。
これまで芝→ダートに変更した成功例は?
古くは悲運の名牝ホクトベガや、海外に高額売買されたユートピア、少し前ならタイムフライヤーにモズアスコット。最近では、昨年のチャンピオンズC(G1)を制したジュンライトボルトなども路線変更で好走した良い例だ。血統背景も考慮すれば、本馬もダートで飛躍する可能性は十分に秘めている。
また、何といっても引き続きC.ルメール騎手が騎乗予定という点も心強い。そもそもノーチャンスなら、ルメール騎手も乗らないだろう。1年以上もの“空白”はあるが、オーソリティにはコントレイル世代の古参として新たな活路を見出す走りを期待したい。