浜中俊「強かったと思います」ナムラクレア快勝も本番に黄色信号?…スプリンターズSに不穏なデータと主戦の苦い過去

ナムラクレア

 蹴り上げられた芝の塊が飛び散るほどの重馬場も短距離女王には関係なかった。

 27日に札幌競馬場で行われたサマースプリントシリーズの第5戦、キーンランドC(G3)は2着のシナモンスティックに1馬身差をつけて、1番人気のナムラクレア(牝4、栗東・長谷川浩大厩舎)が勝利した。

「強かったと思います。今日の馬場状態や傾向を考えると、なるべく外目の馬場の良いところを通ろうと思っていました。イメージに近い競馬ができたと思います」

 この日の札幌は、激しい雷雨の影響で8Rの発走時刻が15分遅延したほどの劣悪なコンディションだった。馬場の悪化で、能力を発揮し切れなかった馬もいた中で掴み取った勝利に浜中俊騎手のコメントも納得だ。

 レースでは「スタートを決めて、前半は好位で流れに乗りたいと思っていました」と振り返った通り、中団の外めからレースを進め、最終コーナーでは先頭集団に並びかけた。最後の直線では馬場のいいところから一気の差し切り勝ちを見せ、上がり3ハロン35秒2はメンバー最速と申し分ない内容だった。

 これでナムラクレア自身も芝1200mの重賞は4勝目となり、秋の大一番に向け大きく弾みのついた一戦になっただろう。

キーンランドC覇者を襲う不穏なデータ

 ただ、キーンランドCを制したナムラクレアだが、ローテーション的な意味ではスプリンターズS(G1)に黄色信号が灯った可能性もある。というのもキーンランドCの優勝馬は、本番で好走例が少ないという不都合なデータがあるのだ。

 2006年から現行のG3に格付けされ、サマースプリントシリーズの対象レースとなった17年間を振り返ると、本レースの勝ち馬が同年のスプリンターズSに挑戦した結果は、1-1-2-11(うち2頭は不出走)と勝率6.6%、複勝率も26.6%と分が悪い。唯一勝利したのは2011年のカレンチャンのみである。

 また主戦を任されているデビュー17年目の浜中騎手は、これまで中央のG1を9勝しているが、スプリンターズSに関しては、過去8回騎乗して“全て着外”と相性が良くない。

 昨年はナムラクレアで5着だったが、勝ったのは一昨年に浜中騎手が騎乗して11着に敗れたジャンダルムだったのも皮肉な話だ。浜中騎手はナムラクレアの父ミッキーアイルと挑んだ2015年も4着に敗れており、勝利と縁のないレースとなっている。

 今度こそタイトルを獲りたい浜中騎手とナムラクレアのコンビだけに、この不穏なデータと相性の悪さを克服する必要がある。

「昨年はスプリンターズSに挑戦して結果が出ず、今年も高松宮記念(G1)で2着と、あと一歩のところまで来ています。ナムラクレア、長谷川厩舎と一緒に何とか次はG1を、と思っています」

 浜中騎手がそう振り返れば、管理する長谷川調教師も「スプリンターズSに向け、さらにしっかり管理して、いい状態で出させてあげたい。気持ちの強さが彼女の一番いいところ。それを切らさずに持っていければ」と陣営から強く決意も伝わる。

 浜中騎手にとっては、2019年のロジャーバローズで勝った日本ダービー(G1)以来、約4年半ぶりとなる中央のG1勝利、長谷川調教師とナムラクレアにとっては初のG1制覇が懸かっている。

 今年も短距離戦線は本命不在の混戦模様が予想されるが、今回の勝利で頭1つ抜け出した陣営にとって今年のスプリンターズSは、負けられないレースとなりそうだ。

GJ 編集部

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