【セントライト記念(G2)展望】皐月賞馬ソールオリエンスが堂々の秋始動! 異端のG1馬ドゥラエレーデと2度目の対決

ソールオリエンス 撮影:Ruriko.I

 18日、中山競馬場では菊花賞トライアルのセントライト記念(G2)が行われる。今年は2頭のG1馬が出走を予定。ハイレベルな争いが予想される一戦を早速展望していこう。

 中心は新馬、京成杯(G3)、皐月賞(G1)と無傷の3連勝で世代最強の座に就いたソールオリエンス(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)だ。

 特に圧巻だったのは、大外一気の末脚で戴冠した皐月賞だろう。鬼門とされる最内枠から序盤はじっくりと後方を追走したソールオリエンス。4コーナーで17番手の絶望的な位置にいたが、大外をブン回すと、並ぶ間もなくライバル馬たちを交わし去った。

 鞍上を務めた横山武史騎手はレース後、「この馬の強さは僕が一番知っている」「負けるとしたら展開のアヤだったり、もっと強い馬がいたりした時」と発言したように、かなりの手応え。二冠どころか三冠獲りも……と思われた。

 そして迎えた日本ダービー(G1)は1.8倍の断然1番人気に支持され、東京の長い直線でさらなる進化を見せるはずだった。

 レースでは皐月賞から一転して好位6番手からの競馬。直線では4番手から早め抜け出しを図った皐月賞2着馬のタスティエーラに詰め寄ったが、クビ差届かず。4戦目にして初黒星を喫してしまった。

 クラシック一冠ずつを分け合う形となったタスティエーラは菊花賞(G1)へ直行予定。一方のソールオリエンスは8月下旬に美浦に帰厩し、トライアルでひと叩きされ菊花賞へ向かう。

 本番まで約1か月のレース間隔があるとはいえ、菊花賞は京都開催。つまり、ソールオリエンスにとって初の関西遠征が控えている。陣営もそれを見据えて、ある程度余裕残しの仕上げとなるのか。それでもタスティエーラとの再戦に向けて、ここで負けるわけにはいかない。

 2歳王者の関西馬ドゥラエレーデ(牡3歳、栗東・池添学厩舎)は、翌週の神戸新聞杯(G2)ではなく敢えての東上で、秋の始動戦を迎える。

 これまでの臨戦過程を振り返ると、“異例”の二文字が浮かび上がる。ダートに転じた3戦目に初勝利を挙げると、芝での初勝利をホープフルS(G1)で遂げる快挙を達成。今春は皐月賞ではなく、ダート1900mが舞台のUAEダービー(G2)に挑戦し、世界を相手に2着に健闘した。

 帰国後はダービーで復帰初戦を迎えたが、スタート直後の落馬で競走中止。その後は、宝塚記念(G1)で果敢に古馬に挑んだが、10着に敗れ、夏を休養に充てていた。

 ローテーションとともに異例なのはこれまでの鞍上だ。G1馬にもかかわらず、鞍上を固定されることはなく、8戦すべてで異なる騎手が手綱を取ってきたが、今回はダービーで鞍上を務めた坂井瑠星騎手と2度目のタッグ。ただ、同レースはスタートしてすぐに落馬しており、実質的には今回が“初騎乗”という声も……。

 この秋は始動戦の結果にかかわらず順当に菊花賞に進むのか、それともファンを驚かせる別の選択肢があるのか。そして鞍上も坂井騎手に固定されるのか。楽しみは尽きないが、いずれにしてもホープフルS以来となる中山競馬場で、G1馬の意地を見せておきたいところだろう。


 G1馬2頭の一角を崩す候補として3頭の名前を挙げておきたい。いずれも2015年の牝馬クラシックに出走経験がある母の2番仔たちだ。

キングズレイン 撮影:Ruriko.I

 1頭目は、15年のローズS(G2)を制し、同年の秋華賞(G1)にも出走したタッチングスピーチの2番仔キングズレイン(牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎)である。

 その高い素質を見せたのは昨年のホープフルS。前残りの展開にもかかわらず、4角11番手から上がり最速の末脚で3着に入り、その時点でクラシック候補の1頭と目された。

 ところが年明け初戦の毎日杯(G3)でブービー12着に大敗し、春のクラシックには出走できなかった。それでも仕切り直しの町田特別(2勝クラス)を順当に勝利したのは力のある証拠。実りの秋に向けて3か月ぶりの実戦を迎える。

シャザーン 撮影:Ruriko.I

 2頭目は、15年の牝馬三冠レースに出走し、翌16年のエリザベス女王杯(G1)を制したクイーンズリングの2番仔シャザーン(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。

 春のクラシックでは掲示板こそ外したが、皐月賞は中団後方の位置取りから直線でじりじりと末脚を伸ばし、0秒7差の6着。続くダービーは同じような位置取りから9着と着順こそ落としたが、勝ち馬とは0秒4差だった。

 陣営はロードカナロア産駒の本馬を中距離タイプと見ており、菊花賞への出走は流動的。結果次第では古馬相手の中距離路線に進む可能性もあるだろう。いずれにしても、すみれS(L)勝ちしかないため、賞金加算が課題。休み明けでも全力投球の可能性は十分あるだろう。


 3頭目は、15年の桜花賞(G1)とオークス(G1)で1番人気に支持されたルージュバックの2番仔フレーヴァード(牡3歳、美浦・大竹正博厩舎)。母は重賞を4勝したが、G1勝利には届かなかった。

 フレーヴァード自身は今年2月のデビューから4戦2勝とキャリアは浅く、7月の札幌で1勝クラスを勝ったばかりの格下といえる存在だ。それでもレースでは母譲りの切れ味を発揮する場面もあり、将来的には重賞での活躍が期待されている。

 状態次第で自己条件(2勝クラス)に回る可能性もありそうだが、もし出走すれば、春の実績馬を相手に力試しの一戦となる。

 この他には、昨年秋のデビュー戦でソールオリエンスと接戦を演じたレーベンスティール(牡3歳、美浦・田中博康厩舎)、7月のラジオNIKKEI賞(G3)でレーベンスティールにハナ差先着したシルトホルン(牡3歳、美浦・新開幸一厩舎)、目下3連勝と勢いに乗るウィズユアドリーム(牡3歳、栗東・吉岡辰弥厩舎)など将来性を秘めた素質馬がスタンバイしている。

 今年のセントライト記念はG1馬2頭による一騎打ちとなるのか、それとも間に割って入る馬が現れるのか。発走は3日間開催の最終日、18日の15時45分を予定している。

関連記事

JRA最新記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS