ルーキー河原田菜々「大興奮」勝利で、神戸新聞杯(G2)出走の先輩が急浮上!?「どこまでやれるか楽しみ」8馬身圧勝デビューの大器を捻った絶好調ホースとは
24日に阪神競馬場で行われる神戸新聞杯(G2)は、牡馬クラシック第3弾・菊花賞(G1)と密接な関係を持つ王道トライアルだ。
今年の主役は春の日本ダービー(G1)で3着だったハーツコンチェルト。勝ったタスティエーラと、皐月賞馬で2着だったソールオリエンスとはクビ+ハナ差の接戦だった。同世代の強豪がセントライト記念(G2)に回ったこともあって、ここは負けられない戦いになる。8枠13番と大外枠のエントリーとなったが頭数は手頃、むしろ外からじっくりとレースを運べるはずだ。
その一方で、ここにきて「もう1頭の8枠」スマートファントム(牡3歳、栗東・石橋守厩舎)の評価が急浮上している。
発端は、前日の23日に阪神競馬場で行われた4Rの2歳新馬だ。結果は、クリノファンタジア(牝2歳、栗東・石橋守厩舎)が8馬身差で圧勝。2番手から早めに先頭に立つと、最後の直線では7番人気の低評価を嘲笑うかのように後続をぶっちぎった。
「他の馬とは違う競馬、強い馬に乗せてもらい感謝しています」
レース後、衝撃的な圧勝劇に鞍上のルーキー・河原田菜々騎手も興奮気味。これがデビュー通算8勝目となったが、8馬身差は経験したことがない楽勝だった。
「完全にスピードが違いましたね。最後は流し気味でしたし、もしゴールまでしっかり追っていれば、もっと着差が広がったかもしれません。勝ち時計の1:25.5は、前週18日に同舞台で行われた2歳新馬の勝ち時計が1:27.1だったことを踏まえても非常に優秀なタイム。上のクラスに上がっても楽しみの方が大きいですし、ルーキーの河原田騎手にとっては手放したくない相棒になったと思います」(競馬記者)
記者だけでなく、レース直後にはSNSなどでも「これはちょっとモノが違うな」「7番人気、失礼しました」「えげつない逃げ」「相当強くないか?」と称賛の声を集めていたクリノファンタジア。次走は未定だが、河原田騎手とのフレッシュなコンビは今後ますます注目を集めることになるかもしれない。
ただ2歳新馬のクリノファンタジアの圧勝劇で、神戸新聞杯に出走するスマートファントムの評価が上がったとは、どういう意味だろうか。
「もともと併せ馬で古馬1勝クラスと互角の動きをするなど、ダートの短距離馬らしい良い動きを見せていたクリノファンタジアですが、ここまで人気がなかった(7番人気)のは肝心の最終追い切りの併せ馬で遅れたことが大きいと思います。
それも約2馬身差、時計にして0.3秒差という完敗……。それだけに追い切りを見守った記者としては低評価する他なかったと思いますが、それで(レースでは)あの圧勝劇ですからね。そうなってくると、クリノファンタジアの『動き』が悪かったというよりは、併せた『相手』が悪かったということになるかもしれません」(別の記者)
つまり、クリノファンタジアが最終追い切りで併せた「相手」こそ、神戸新聞杯に出走するスマートファントムだったというわけだ。
勝ち味に遅い面もあって、7月の前走でようやく1勝クラスを勝ち上がったばかりのスマートファントム。大本命ハーツコンチェルトとは、実績面で比べものにならないと言わざるを得ない格下だ。
しかし、最終追い切りの栗東坂路4ハロン51.9秒は、自己ベストを0.9秒も更新する超抜時計。そう考えれば、デビュー戦を圧勝したクリノファンタジアが後れを取ったのも頷ける。
「ハーツコンチェルトは確かに世代でもトップクラスの強豪ですが、本番はあくまで菊花賞。一方、2勝クラスのスマートファントムにとっては是が非でも3着以内に入って優先出走権が欲しいところ。実績面の差は大きいですが、レースの重要度にも明確な差があります。
先週のセントライト記念(G2)でも皐月賞馬のソールオリエンスが、2勝クラスのレーベンスティールに足をすくわれたように、格下の馬にチャンスがあるのがトライアルレースの面白いところです」(同)
「久々でも上手く仕上がった。舞台は問題ないし、重賞でどこまでやれるか楽しみ」
最終追い切り時に、そう語っていた石橋調教師はクリノファンタジアの圧勝劇を見て、ますます自信を深めたに違いない。
果たして、スマートファントムはレースでも同厩の妹分に貫録を見せられるか。8枠に大本命馬が入った今年の神戸新聞杯だが「もう1頭の8枠」にも注目しておきたい。