菊花賞(G1)見えたが、ファンからは溜息…!? 「秋には重賞戦線へ」大物オーナーが期待をかけるスタミナ自慢が第2のデルタブルースになれない理由

大野拓弥騎手 撮影:Ruriko.I

 23日、中山競馬場で行われた九十九里特別(2勝クラス)は、2番人気のニシノレヴナント(セ3歳、美浦・上原博之厩舎)が勝利。最後は3番人気シャインユニバンスと横並びでゴール板を通過したが、ハナ差で接戦を制した。

 中山では過去2戦で11着、9着と結果が出ていないニシノレヴナントだったが、主戦の大野拓弥騎手は「コース云々より、いかに集中させるかを意識していた」と敵は己の中にあったことを強調している。

 その甲斐もあってか、しっかりと折り合ってレースを運んだニシノレヴナントは持ち前のしぶとさを発揮。ハナ差の接戦を制し、主戦騎手も「ラストまで真面目に走れたことが良かった」と合格を与えている。

 九十九里特別といえば、芝2500mという長丁場。セントライト記念(G2)や神戸新聞杯(G2)といったトライアルが行われる時期とあって、ここを勝ち上がった3歳馬が滑り込みで菊花賞(G1)出走を果たすことも珍しくない。

 実際に2004年の九十九里特別を勝ったデルタブルースは、勢いそのままに菊花賞を制覇。ステイヤーとしての才能を開花させると、2006年には豪州最高峰のメルボルンC(G1、芝3200m)を日本馬として初めて勝利する快挙を成し遂げた。

 また、2017年の勝ち馬マイネルヴンシュも菊花賞で11番人気の低評価を覆して4着に好走。惜しくも馬券に絡むことはできなかったが、3000mを戦う上で長丁場を走った経験が大きな武器になることは間違いない。

 今年の勝ち馬ニシノレヴナントも、春はダービートライアルの青葉賞(G2)で敗れていた遅咲き。この日、口取り式にも参加した西山茂行オーナーが春の頃から「秋には重賞戦線へ」と期待をかけていた逸材だけに、有言実行を果たすべく大きな3勝目となったに違いない。

 その一方で、この勝利に一部のファンからは「残念」という意外な声も聞こえてきた。

「今回の九十九里特別で改めて世代屈指のスタミナを証明したニシノレヴナントですが、残念ながらセン馬はクラシック出走が認められておらず、菊花賞に進むことはできません。これだけのスタミナ自慢だけに、淀の3000mで見られないことはもったいないですが、逆に言えばセン馬になったことで出世してきた馬……。残念ですが、仕方ないですね」(競馬記者)

 そうなると、当面の目標は来春に開催される天皇賞・春(G1)か。クラシックをはじめとするG1競走には「優秀な種牡馬・繁殖牝馬を選定するための審査」という名目があるため、以前は天皇賞もセン馬の出走が認められていなかったが、2008年から開放。ただし、セン馬の優勝例はまだない。

 ニシノレヴナントは、かつてニシノフラワーの母として牧場を支えた名牝デュプリシトのクロスを持つ西山ブランドの結晶だ。それだけにセン馬にすることは、オーナーとしても苦渋の決断だったはず。支払った“対価”に応えるような力走を続ける孝行息子は、果たしてここからどのような軌跡を残すのか。異色のスタミナ自慢の歩む道に注目だ。

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