凱旋門賞(G1)スルーセブンシーズ大健闘4着に「イクイノックスを見たかった」の声続々……。世界最強ホースの不在を日本の競馬ファンが改めて惜しんだ理由とは
1日深夜、パリロンシャン競馬場で行われた凱旋門賞(G1)は、地元フランスのエースインパクト(牡3歳、仏・JC.ルジェ厩舎)が優勝。これでデビュー6戦6勝となり、2013年トレヴ以来となる無敗での凱旋門賞制覇となった。
一方、日本から挑んだスルーセブンシーズ(牝5歳、美浦・尾関知人厩舎)は4着。日本競馬の悲願はまたもお預けとなってしまった。だが、レース後にC.ルメール騎手が「最後の直線はよく追い上げてくれました」と相棒を称えたように、ほぼ最後方で迎えた最後の直線で見せた脚は目を見張るものがあり、日本競馬のレベルの高さを改めて証明する走りだった。
「ゴール前、鳥肌立ったし、感動した!」
「期待できないとか言ってごめんなさい」
「七海(スルーセブンシーズ)ちゃん、最高でした!」
「有馬記念で見たいな」
日本時間23時過ぎに発走ながら、レース後にはSNSや掲示板などでもスルーセブンシーズの健闘を称える声が続々。中には、スルーセブンシーズが所属するキャロットファームの牝馬は6歳春で引退という規定があるため「来年、見られないのが残念」という声もあった。
「イクイノックスを見たかった」の声続々…
そんな中、特に多かったのが「イクイノックスの凱旋門賞を見たかった」という声だ。
イクイノックスといえば、日本が世界に誇る現役No.1ホース。スルーセブンシーズがこの春の宝塚記念(G1)で敗れた相手が、この現役最強馬だった。
その実力も然ることながら、凱旋門賞でエースインパクトと1馬身3/4差で2着だったウエストオーバーは、今春のドバイシーマクラシック(G1)の2着馬でもある。勝ったイクイノックスが3馬身半差をつけて圧勝していただけに、日本の競馬ファンがこの最強馬が世界の頂点で戦うところを見たかったと思うのも自然だろう。
「今年の凱旋門賞は近年稀に見る良馬場で行われ、勝ち時計も2:25.50と非常に速いものでした(昨年は2:35.71)。ちなみにフランスギャロの公式ホームページで公開されているトラッキングレポートによると、エースインパクトが記録した上がり3ハロンは33.06秒だったそうです。
凱旋門賞の2400mは日本ダービーと同じ距離ですが、タスティエーラの今年の勝ち時計が2:25.2で、上がり3ハロンは33.5秒。これだけを見ても、今年の凱旋門賞は日本競馬に近い時計水準の中で行われたことがわかります。
同時にこれらがスルーセブンシーズが健闘できた要素の大きな1つと考えられるだけに、日本の競馬ファンがイクイノックスら他のトップホースの挑戦を見たかったと考えるのは当然でしょう」(競馬記者)
実際に、今年の凱旋門賞は勝ったエースインパクトの祖父、2着のウエストオーバー、3着オネストの父がいずれも日本でもお馴染みのフランケルという血統的に偏った結果となった。
さらに4着に日本馬のスルーセブンシーズ、5着に日本産のハーツクライ産駒であるコンティニュアスが健闘したとなると「今年の凱旋門賞は日本馬向きだったのでは」と考えたくもなるだろう。
一方、イクイノックスは歴代最高賞金を目指し、天皇賞・秋(G1)から始動予定。同世代のライバル、ドウデュースと久々の対決を迎える。最大目標を11月のジャパンC(G1)としながらの天皇賞・秋参戦は目下の充実ぶりと、課題だった体質の改善のなせる業だろう。いよいよ本格化したと言っていいかもしれない。
正式な発表こそないもののジャパンCを勝利して大団円で引退、種牡馬入りということも十分に考えられるイクイノックス。だが、もし来年も現役を続行するのなら、今度こそパリロンシャンでその姿を見てみたい。