川田将雅「遅れてきた3億円馬」7馬身差の圧勝劇に心中複雑!? 米ブリーダーズC優勝の“代償”に手放した大器をC.ルメールが絶賛

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

「全部、持っている」

 衝撃の日本レコード1:55.2で天皇賞・秋(G1)を制したイクイノックスを「完璧な馬」と評したC.ルメール騎手は、この「遅れてきた大器」をどう評価しているだろうか。

 天皇賞・秋発走の約2時間前に行われた東京8R本栖湖特別(2勝クラス)。この日のイクイノックスの走りは全国の競馬ファンを驚かせたが、このレースで見せたダノンギャラクシー(牡4歳、美浦・国枝栄厩舎)の走りもまた衝撃的だった。

 7頭立てで行われた芝2400mのレース。2番手を追走したダノンギャラクシーは、最後の直線で逃げ馬を楽に交わすと、そこからは完全な一人旅。後続をみるみる突き放して、最後は7馬身差という大差になった。これにはレース後、2着ファンタジアのJ.モレイラ騎手も「1頭、強い馬に当たってしまった」と自らの不幸を嘆く他なかったようだ。

 ちなみに2着に1.1秒差をつけた勝ち時計2:22.8は、同じルメール騎手×国枝厩舎のアーモンドアイが「世紀の一戦」と呼ばれた2020年ジャパンC(G1)で記録した2:23.0より0.2秒速い。無論、これだけでG1を勝てると言うつもりはないが、何故、これだけの大物候補が4歳秋に2勝クラスに留まっていたのだろうか。

「2019年のセレクトセールで2億9000万円で落札されるなど、将来を嘱望されていた馬です。しかし、昨年の青葉賞(G2)を感冒で取り消すなど体質や脚元に不安があり、ここまで出世が遅れてしまいました。

ようやく帰ってきましたし、今回はモノが違う勝ち方。これで東京・芝2400mは3戦3勝となりましたし、今年は無理でも来年のジャパンCで見てみたい1頭です。遅れた分、これから大きく期待したいですね」(競馬記者)

 ダノンギャラクシーは昨年、日本ダービー(G1)の前日に1勝クラスを快勝。秋の飛躍を期待される1頭だった。しかし、そこから脚部不安で約1年半の長期離脱……。今回が待望の復帰戦だったのだ。

 長期休養明けを感じさせない圧勝劇には、ルメール騎手も「休養前のレースよりも手応え良く運ぶことができた」と成長を実感。「長い距離で良い馬ですね」と今後の展望を明かしている。

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

川田将雅騎手 7馬身差の圧勝劇に心中複雑!?

 その一方で、複雑な心境なのは4着馬エルディアブロに騎乗し「遅れてきた大器」の成長を目の当たりにした川田将雅騎手かもしれない。

 今からちょうど2年前の10月31日は、天皇賞・秋の開催日だった。ダノンギャラクシーは当初、その日に川田騎手でデビューする予定だったが、追い切り内容に不満を抱いた国枝調教師の“鶴の一声”でデビュー戦が延期に……。

 結局、ダノンギャラクシーは翌週の11月6日にデビューしたのだが、あろうことか川田騎手は米国のブリーダーズカップに参戦していたために騎乗できず。急遽、代役が回ってきたのがルメール騎手だった。

 2021年のブリーダーズカップといえば、川田騎手がラヴズオンリーユーとのコンビでBCフィリー&メアターフ(G1)を優勝。日本人騎手として初のBC覇者となり、歴史にその名を刻んでいる。

 あの歴史的勝利から2年。ジョッキーとして極めて大きな栄誉を掴んだ川田騎手だが、その“代償”をこれから支払うことになるのかもしれない。

GJ 編集部

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