武豊が「絶大な信頼」を寄せる黒岩悠とは一体何者? 現役最強馬キタサンブラックを誰よりも知る「影の主戦騎手」の正体
しかし、そんな黒岩騎手が競馬サークル内で高い信頼を得て、充実した現役生活を送っているのは、彼が一流の「調教騎手」だからである。
「清水(久詞)先生の厩舎が開業して1、2年目くらいの時に人手の関係でヘルパーを募集していたんです。『ぜひお願いします』という感じでした」
『週刊ギャロップ』(サンケイスポーツ)の取材に答えた黒岩騎手は立場こそフリーの現役騎手だが、今や完全に清水厩舎で中核を担う調教騎手。武豊騎手とは同厩で活躍したトウケイヘイローの調教をつけていた頃からの関係だ。そういった意味では、武豊騎手の低迷期を支えた人物の一人といえるだろう。キタサンブラックには、デビュー前からずっと調教に携わっている。
「調教で”彼”に触れられるのは幸運だし、すごく光栄なこと」
騎手にとって何物にも代えがたい財産が「名馬の背中」を知ることといわれている。武豊騎手があれだけの成功を収めているのも、人並み外れた数多くの名馬に跨り「勝つ馬」の感触を知っているからだ。
そういった意味でレースではなく「調教」を主とし、その手当で飯を食っている調教騎手という”職業”は、例え超一流の騎手でなくとも、運が良ければ超一流の馬に深く携われるかもしれない特殊なポジションだといえる。
そうやって騎手としての「経験」を重ねる生き方もあるということなのだろう。
「代表的なのは、高田潤騎手ですね。昨年解散した松田博資厩舎で調教を行い、主にアドマイヤドンやアドマイヤムーンなどを担当していましたが、『調教名人』『仕上げのプロ』など、その技術は極めて高い評価を受けていました。