【フェアリーS(G3)展望】非業の大器スキルヴィングの妹ジークルーネが出陣! C.ルメールと新コンビのスティールブルーが実績上位
1月7日、中山競馬場では3歳牝馬による限定重賞、第40回フェアリーS(G3)が芝1600mを舞台に行われる。
本レースはグレード制が導入された1984年にテレビ東京賞3歳牝馬Sとして創設され、94年に現在の名称となった。第1回覇者エルプス、第2回覇者メジロラモーヌはそれぞれクラシックウイナー(後者は三冠馬)に上り詰めたが、その後はなかなかクラシックに直結しないレースとなっていた。
だが、2022年には2着したスターズオンアースが二冠牝馬に。今年もここをステップにクラシックで活躍する牝馬は登場するか。
アルテミスSの3着馬がC.ルメール騎手で勝負駆け
最有力視されるのは、昨夏の新潟で初陣を飾ったスティールブルー(牝3歳、美浦・宗像義忠厩舎)だろう。
2戦目のアルテミスS(G3)は、4番人気で3着に敗れたが、同レースを制したチェルヴィニアは、世代牝馬でトップクラスと評されている1頭。そのチェルヴィニアとは0秒4差で、2着のサフィラとは0秒2差だった。道中は勝ったチェルヴィニアと同じような位置取りだったが、瞬発力勝負ではやや分が悪かった。
それでも2歳戦屈指の出世レースで、素質馬を相手に合格点の走りを見せており、メンバーレベルがやや落ちる今回は主役級の扱いを受けることになるだろう。デビューから2戦は荻野極騎手が手綱を取っていたが、今回はC.ルメール騎手が配されており、勝負気配が漂う。
スキルヴィングの妹ジークルーネは距離が課題か
血統的に将来性を感じさせるのは、ジークルーネ(牝3歳、美浦・栗田徹厩舎)だ。
10月東京の芝1400mでデビューしたキズナ産駒のジークルーネ。ルメール騎手を背に好位を追走すると、終始楽な手応えで運び、直線は難なく押し切った。
2着馬とは半馬身の差だったが、着差以上の強さを感じさせた。ただルメール騎手は「1400mはちょうどいいと思います」とコメントしており、今回は1ハロンの延長がカギとなるだろう。
本馬の半兄は、昨年5月の日本ダービー(G1)で非業の死を遂げたスキルヴィング。兄の無念を晴らすためにもここを勝って桜花賞(G1)に名乗りを上げたい。
中山・芝1600mで5馬身圧勝のキャットファイト
1勝馬のスティールブルーとジークルーネに対して、すでに2勝を挙げているのがキャットファイト(牝3歳、美浦・上原博之厩舎)だ。
6月の東京で行われた新馬戦こそ6着に敗れたが、8月の未勝利戦、9月のアスター賞(2歳1勝クラス)を連勝。特に2勝目を飾ったアスター賞は2着に5馬身差をつける圧勝だった。
続く阪神ジュベナイルF(G1)で4番人気に支持され、インをロスなく立ち回る絶好の競馬運びを見せたが、直線で伸びを欠いて10着に惨敗。騎乗した大野拓弥騎手は「大きい舞台でイレ込んでしまって、体力を使ってしまった」と敗因を分析しており、初の関西圏への長距離輸送も響いたか。
今回は地元の中山で、アスター賞と同じコースが舞台。坂井瑠星騎手との新コンビで桜花賞に向けて賞金を加算しておきたいところだろう。
持ち時計が優秀なイフェイオン
エピファネイア産駒のイフェイオン(牝3歳、栗東・杉山佳明厩舎)は、母が重賞こそ未勝利だったが、クイーンC(G3)と阪神牝馬S(G2)で2着、阪神JFで4着したイチオクノホシという良血馬だ。
初戦はプシプシーナの3着に敗れたが、2戦目の京都マイルで快勝。1分33秒3の走破時計は、当日の古馬2勝クラスより0秒1遅いだけの優秀なものだった。母が味わえなかった重賞勝利の美酒を味わえるか。
キャプテンネキ(牝3歳、栗東・杉山晴紀厩舎)は新馬、りんどう賞(2歳1勝クラス)を連勝。3戦目のファンタジーS(G3)で6着に敗れたが、勝ち馬のカルチャーデイから0秒5差と健闘した。初のマイル戦に対応できれば上位進出の可能性はある。
ニシノティアモ(牝3歳、美浦・上原佑紀厩舎)は、半兄が先日のグレイトフルS(3勝クラス)を勝ったニシノレヴナント。父がネロからドゥラメンテに替わって、桜花賞よりはオークス向きか。
テリオスサラ(牝3歳、美浦・高柳瑞樹厩舎)は、新種牡馬ロジャーバローズの産駒。前走の赤松賞(2歳1勝クラス)では、ステレンボッシュから3/4馬身差の2着に好走している。持ち味の先行力を活かせれば上位に食い込む力はある。
この他には、黒松賞(2歳1勝クラス)を完勝したマスクオールウィン(牝3歳、美浦・牧光二厩舎)、アルテミスS6着のラヴスコール(牝3歳、美浦・加藤征弘厩舎)、同レース7着のエリカリーシャン(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)なども登録している。
いずれにしても抜けた馬はおらず混戦模様。トリッキーなコースだけに枠順も気になるところだ。フェアリーSは7日の15時45分に発走を予定している。