「53キロはNG」「2歳新馬も危ないから乗らない」関東の変わり者がマイスタイル?有力馬の騎乗機会も減少…「腕はあるのにもったいない」と惜しむ関係者も
今年の日本ダービー(G1)も終わり、先週から早くも2歳新馬戦がスタート。3歳世代は古馬との戦いが始まった。
毎年のことではあるが、1勝クラスでは圧倒的に3歳馬が優勢だった。4歳以上の古馬は約1年間、勝ち上がることが出来なかった訳で、伸びシロのある3歳馬に勝てなかったのも当然と言えば当然かもしれない。斤量差が3キロのアドバンテージも大きい。
手堅く星勘定をしたい騎手にとって、勝率の高い1勝クラスに出走する3歳馬の確保は重要なはずだが、意外にも「我関せずのマイスタイル」を貫いている騎手がいるという。
目の前の1勝にこだわらないスタイルを貫く理由とは?
「関東の田辺裕信騎手なんかはそうですね。噂によると数年前から2歳新馬は気性が若くて行儀の悪い馬も多くて危ないという理由で乗らなくなりましたね。それだけでなく、自身のパフォーマンスが落ちるからと53キロ以下の馬にも乗らなくなりました。
ですが、この時期の3歳牝馬の斤量は53キロのため、勝ち負けの期待が大きい有力馬にも乗れなくなってしまいます。実際、先週の開催でもクイーンC(G3)で4着に好走した実績があったお手馬のサクセスカラーは横山武史騎手に乗り替わり。順当に1勝クラスを勝ち上がっていました」(競馬記者)
そしてこれは3歳牝馬に限らず、2歳新馬でも影響が出ていた様子。土曜東京で1レースだけ行われた5Rのメイクデビュー東京で1番人気に支持されていたデバッグは、所属厩舎や馬主のラインを考えれば、田辺騎手でデビューの線もあったと考えられる。
結局、レースでは7着に敗れてしまったが、こちらもおそらく2歳新馬に乗らないという田辺騎手のスタイルも少なからず関係した可能性もありそうだ。結局、土曜4鞍、日曜2鞍の計6鞍しか騎乗機会はなかった。
例年通りなら8月くらいからは2歳新馬も乗ると考えられるのだが、近年は6月東京の2歳新馬は、かつてに比べて翌年のクラシックを意識した有力馬がデビューするケースも増えつつある。
実際、昨年の6月東京はシュトラウス、ボンドガール、ゴンバデカーブース、ダノンエアズロック、阪神ジュベナイルF(G1)を制したアスコリピチェーノらがデビュー勝ちを決めていた。
先述したサクセスカラーは田辺騎手のお手馬だったが、乗り替わって勝利を挙げた横山武騎手はリーディング上位の騎手。結果を出された以上、今後斤量的に乗れるようになったとしても手綱が戻ってこない可能性もあるだろう。
ベテランジョッキーなら乗鞍を制限するケースは珍しくないとはいえ、40歳の田辺騎手はまだまだ働き盛り。「目の前の1勝だけでなく、将来性のある馬たちと出会う機会を失っても我を貫く姿勢は感心しますが、せっかく腕があるのにもったいない……」と惜しむ関係者もいた。