「単勝2万馬券」「3連単153万馬券」が飛び出した上半期G1…武豊はドウデュースで勝利ならず、最も馬券に絡んだ戸崎圭太のほろ苦い春
菅原明良騎手とブローザホーンのコンビが人馬ともに初G1勝利を決めた宝塚記念も終わり、JRAの上半期G1もすべて終了。福島、小倉の開催がスタートする今週末からは、いよいよ本格的な夏競馬のシーズンへと突入する。
トップクラスの多くが夏場を休養に充てる中、来年のクラシックを目指す2歳馬や夏場に力をつける3歳の上がり馬にも注目したいところだが、その前に上半期に行われたG1レースで活躍した騎手を振り返ってみたい。以下は馬券に絡んだ騎手の一覧である。
■上半期のG1を勝利した騎手
戸崎圭太 1.3.1.4/9 皐月賞(ジャスティンミラノ)
ルメール 1.2.0.5/8 オークス(チェルヴィニア)
モレイラ 1.1.2.3/7 桜花賞(ステレンボッシュ)
菅原明良 1.1.1.4/7 宝塚記念(ブローザホーン)★
坂井瑠星 1.0.3.3/7 高松宮記念(マッドクール)
川田将雅 1.0.1.7/9 NHKマイルC(ジャンタルマンタル)
横山和生 1.0.1.5/7 大阪杯(ベラジオオペラ)
藤岡佑介 1.0.0.4/5 フェブラリーS(ペプチドナイル)
横山典弘 1.0.0.4/5 日本ダービー(ダノンデサイル)
菱田裕二 1.0.0.3/4 天皇賞・春(テーオーロイヤル)★
津村明秀 1.0.0.3/4 ヴィクトリアマイル(テンハッピーローズ)★
マクドナ 1.0.0.0/1 安田記念(ロマンチックウォリアー)
※敬称略(マクドナ=マクドナルド)、★はG1初勝利
最初に触れたいのは、すでに話題に上がっていた複数回勝利を挙げた騎手が不在だった点だ。計12戦が行われた上半期のG1全レースを異なる騎手が優勝したケースは、1984年にグレード制が導入されて以降、初めてのことでもあった。下半期の開幕を告げる秋のスプリンターズS(G1)でも、この珍事は続くだろうか。
次はG1初勝利を決めた騎手が3人誕生したことである。デビュー6年目の若手、菅原騎手が宝塚記念で勝利したことは、今後の飛躍に繋がるだろう。13年目の菱田裕二騎手もテーオーロイヤルとの出会いが殊勲の勝利へと繋がった。そして、21年目のベテラン津村明秀騎手が、本人も一時は諦めかけたというG1タイトルをついに手に入れた。同期の川田騎手や藤岡佑騎手が活躍していただけに、本人も期するところがあったはずだ。
また、馬券的な側面でも波乱の多かった印象も残った。
11番人気ペプチドナイルと藤岡佑騎手が大穴をあけたフェブラリーSは、2着に5番人気ガイアフォース、3着に13番人気セキフウが入り、3連単の払戻しが153万馬券の大波乱。上半期すべてのG1が終了しても、フェブラリーSが最も荒れたレースとなった。
大阪杯では11番人気ルージュエヴァイユが3着に食い込んだが、本馬に騎乗していたのは最後の直線でイン強襲を決めた菅原騎手。腹の据わった大胆な騎乗ぶりは、後の宝塚記念でも好結果を呼び込んだ。
ヴィクトリアマイルを単勝2万馬券の14番人気テンハッピーローズで制した津村騎手はもちろん、NHKマイルCで10番人気ロジリオンを3着に好走させた戸崎騎手も活躍が目立った騎手である。
戸崎騎手は9回の騎乗機会があったものの、皐月賞の1勝のみ。春二冠のかかっていたステレンボッシュのオークス、ジャスティンミラノの日本ダービーで、どちらも2着に敗れるというほろ苦い経験もした。大一番で神懸かり的な好騎乗を見せたルメール騎手や横山典騎手の手綱捌きは見事だったとはいえ、戸崎騎手も思うところはあるはずだ。秋の反撃に期待したい。