「怪物候補」に早くもイクイノックス二世の声!?鞍上はドゥラメンテ、スターズオンアースで無念の降板…「7馬身差」より際立った加速と爆発力
20日、土曜福島の5R・メイクデビュー福島(芝2000m)は、先手を取ったピコチャンブラック(牡2、美浦・上原佑紀厩舎)が、2着馬に7馬身差をつけて大楽勝。単勝1.7倍の圧倒的1番人気に応えて勝利した。
まだレースで走ったこともないデビュー前の2歳馬が、これほどまで人気を集めたことには確かな理由がある。
怪物の噂に違わぬ圧勝決めたピコチャンブラック
というのも古馬を相手に圧倒する追い切りがファンの目に留まり、ネットの掲示板やSNSなどで「ヤバい馬がいる」「怪物候補かも」と大きな注目を集めていたからだ。ただ調教横綱といわれる馬でも、レースの成績と必ずしも一致するわけではないため、真贋を問われるデビューだったものの、まったく危うさを感じさせない圧勝を飾った。
レース後のコメントで「楽しみな馬です」と評した石橋脩騎手からも「バネがきいているので走るのはわかっていました」「スタートの一歩目からスピードが違い過ぎて」と賛辞のオンパレード。このまま順調に勝ち進むようなら、来春のクラシック候補として期待が出来そうである。
「勝ち時計こそ目立たないものの、特筆すべきは残り6ハロンからゴールまで連続して加速ラップを刻み続けていたことです。最後の直線半ばでは石橋騎手が後ろを振り返って後続の確認をしたほど手応えも残っていました。
まだまだ余力を残したままゴールしたことを考えても重賞級の素質を感じます。日曜札幌でデビュー戦を圧勝したキングスコールも、ソダシが札幌2歳S(G3)でマークしたレコードを塗り替えたように、素質馬2頭の次走は非常に楽しみですね」(競馬記者)
実際、ピコチャンブラックが刻んだラップは13秒4-12秒7-12秒2-11秒9-11秒8-11秒3と文句なし。大抵はゴール前の1ハロンでお釣りがなくなり、時計を要するケースが多いのだが、ピコチャンブラックはむしろ「0秒5」も加速していたのだ。鞍上が「もうひとつギアがありそう」と答えたのは、この辺りにヒントがありそうだ。
同じキタサンブラック産駒ということもあり、早くも一部のファンから「イクイノックス二世」と呼ぶ声も出たピコチャンブラック。偉大な先輩は新潟のデビュー戦を6馬身差で制したが、こちらはそれをさらに上回る7馬身差だった。
血統的な側面でも祖母バレークイーンから分かるように、近親に皐月賞馬アンライバルドやダービー馬フサイチコンコルドらがいるクラシック向きの母系は魅力。唯一の不安があるとすれば、石橋騎手とのコンビがこのまま継続できるかどうかだろう。
石橋騎手は、かつてドゥラメンテやラッキーライラック、スターズオンアースなどのG1馬に騎乗したが、他の騎手に乗り替わって降板したほろ苦い記憶もある。底知れない可能性を示したピコチャンブラックだけに、今度こそ手放すことなくチャンスをモノにしたいところだ。