フォーエバーヤングに「最大の強敵」登場か!?ペースメーカー強奪の圧巻逃げ切り…日本で「ハズレ扱い」された名手も波乱に一役
現地時間21日にイギリスのヨーク競馬場で行われたインターナショナルS(英G1)は米国産馬のシティオブトロイ(牡3、愛・A.オブライエン厩舎)が優勝。4つ目のG1タイトルを手に入れるとともに通算成績を7戦6勝とした。
これが本場のダービー馬か。まさにそう思えるほど、この日のシティオブトロイは強かった。
シティオブトロイはアメリカとフランスでも最大の強敵に
インターナショナルSには、ハンスアンデルセンもペースメーカーとして出走していたが、僚馬の役割を強奪して自身がハナを奪う奇策を選択。イギリスの他の競馬場ほど起伏はないものの、その代わりに最後の直線は約900mの長丁場。ライバルが末脚を存分に発揮可能な舞台設定ながら、危なげなく押し切ってしまったのだから恐ろしい。
次走はブリーダーズCクラシック(米G1、11月2日・デルマー競馬場)への出走が最有力視されているが、凱旋門賞(仏G1)に出走する可能性も残されている。実現すれば前者はフォーエバーヤング、後者はシンエンペラーと激突することとなる。凱旋門賞にはベルリン大賞(独G1)を圧勝したアルリファーも武豊騎手とのコンビで出走を予定。こちらも大きな注目を集めそうだ。
インターナショナルSの話に戻るが、日本馬から参戦したドゥレッツァは残念ながら5着。道中の位置取りは悪くなかったものの、直線で伸びを欠いたあたりは世界のトップクラスとの間に力の差を感じさせられる敗戦だったかもしれない。
また、シティオブトロイの主戦を任されているR.ムーア騎手の存在も今回の圧勝に貢献したはずだ。
というのも本来ならハンスアンデルセンがペースメーカーの役割を果たして、シティオブトロイをサポートすると目されていたが、鞍上のムーア騎手はお構いなしに逃げた。こちらについては、欧州に比して逃げ馬が穴をあけるケースの目立つ日本に短期免許でたびたび来日していることも大きかっただろう。2着カランダガンの爆発的な末脚も素晴らしかったとはいえ、道中を気分よくマイペースで走れた貯金も功を奏したように映った。
そしてもうひとつ気になったのは、9番人気の伏兵ゴーストライターを3着に導いたR.キングスコート騎手の存在である。
このコンビは、前走のエクリプスS(英G1)でもシティオブトロイの3着に好走しており、インターナショナルSでも1着3着を再現。外枠から内へ潜り込むキングスコート騎手の好騎乗も光った。同騎手は今年の年始から2月にかけて、短期免許を利用して日本で騎乗。日本のファンにもお馴染みだ。
短期免許で滞在時には初勝利を飾るまでに32連敗を喫して計5勝。予定を切り上げて帰国したこともあり、一部の競馬ファンから「ハズレ枠扱い」をされることもあった。日本のスピード競馬や特有の環境に対応しつつあった後半は、成績を伸ばしていただけに惜しまれる。
とはいえ、そもそも短期免許の条件をクリアしていたのだから腕は確か。ホームの欧州で腕達者なところを見せたキングスコート騎手に驚かされたファンも少なくなかったのではないか。