エアグルーヴ、バブルガムフェローを撃破して連覇!ジャパンC「17連敗中」外国馬が世界の実力見せつけた時代

昨年ジャパンC優勝のイクイノックス 撮影:Ruriko.I

 英メディアのレーシングポストは10日、イギリスの名トレーナー、マイケル・スタウト調教師が今年末に引退することを報じた。スタウト師は現在78歳。英愛ダービーを制したシャーガーをはじめ、ハービンジャー、オペラハウス、キングズベスト、コンデュイット、ワークフォースなど、日本でもおなじみの名馬たちを育てた名伯楽だった。

 日本のファンに強烈なインパクトを残したのは、1996年シングスピール、97年ピルサドスキーで優勝したジャパンC(G1)だろう。

エアグルーヴ、バブルガムフェローを撃破して連覇

 スタウト師が初優勝を決めた96年は、同年の凱旋門賞(仏G1)を5馬身差で楽勝したエリシオが1番人気。3歳で天皇賞・秋(G1)を制したバブルガムフェローが日本の総大将を任されたが、好位追走からズルズルと後退して13着に惨敗。道中で同じような位置から抜け出し、粘り込みを図るファビラスラフインをゴール寸前でハナ差捉えたシングスピールが勝利した。

 各馬の鞍上もシングスピールはL.デットーリ、エリシオはO.ペリエ、そしてバブルガムフェローに岡部幸雄、ファビラスラフインに松永幹夫と名手が揃った。今春にペリエ騎手が引退し、現在でも現役騎手として活躍しているのはデットーリ騎手のみ。同騎手も23年を最後に引退発表していたが、今年からアメリカに拠点を移して現役を続行している。

 翌97年は前年に大敗したバブルガムフェローが1番人気。前走の天皇賞・秋で本馬との叩き合いを制した女傑エアグルーヴが2番人気で続き、ピルサドスキーは3番人気と侮られたが、G1・5勝馬の底力を見せつけて優勝した。

 天皇賞・秋で徹底マークしたバブルガムフェローとの熾烈な叩き合いを制したエアグルーヴは、ライバルから逆にマークされる格好ながら返り討ちに成功したのだが、ピルサドスキーがそれ以上の脚で伸びてくる展開は想定外だったかもしれない。

 これには主戦の武豊騎手でさえ「日本馬であそこからエアグルーヴを交わせる馬はいない」と振り返っていた。前年の覇者シングスピールにブリーダーズCターフ(米G1)で完勝していた実力を考えれば、妥当な決着ともいえるだろう。パドック周回中に「馬っ気」を出したことも、別の意味で知名度を上げる一因となった。

 また、ピルサドスキーといえば半妹に02年の秋華賞(G1)、エリザベス女王杯(G1)を優勝したファインモーションがいることでも知られる。奇しくも本馬を管理したのは伊藤雄二調教師であり、主戦も武豊騎手のチーム・エアグルーヴという偶然も重なった。

 日本馬のレベルアップが著しい近年は、06年のディープインパクトから昨年のイクイノックスまで17連勝中。過去43回の歴史で唯一ジェンティルドンナ(12年、13年)が連覇に成功しているが、異なる馬で連覇したのはスタウト師のみ。外国馬は05年アルカセットの優勝を最後に連敗が続いているものの、かつてのジャパンCは外国馬が圧倒的な強さを見せていたレースだったことも思い出したい。

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