松田大作×ネロのコンビ実現もあった?「ニシノ」軍団の大物個人馬主が語る「大望」と地方競馬のホープ・中野省吾「抜擢」のいきさつとは…
「一瞬、わしの頭をよぎったのは松田大作だ」
この時点で、西山氏の頭のなかには松田大作騎手とのコンビ結成案が浮かんだという。松田騎手といえば今年2月に道路交通法違反によって約6ヶ月の騎乗停止処分を受け、つい先日ターフへ復帰したばかり。もともと西山氏所有のG1馬セイウンコウセイの鞍上を務めるなど浅からぬ縁のある間柄だった。
しかしながら、現時点では「まだ」時期尚早ということで今回は依頼を見送り、別の選択肢を模索。ちょうどWASJで来場している一流騎手の中から探した結果、地方競馬で売り出し中の中野省吾騎手に白羽の矢が立ったというわけだ。
オーナーブリーダーとして牧場を経営している西山氏は、同ブログ内でネロを将来的に種牡馬入りさせるビジョンを語っている。それによると、牧場の代表牝系であるニシノフラワーの母デユプリシトのクロスを有する産駒を生み出すことが夢とのこと。
ネロはそのデユプリシトの血を持つ唯一の重賞タイトル持ちの牡馬であり、まさに氏の「大望」成就に欠かせない存在なのだ。
ただし、現在のネロの実績では、種牡馬として一本立ちするにはやはり箔が足りない。もともとネロのような短距離馬はクラシックを狙える中距離馬に比べて種馬としての需要が少なく、種牡馬の絶対数も多くない。
G1タイトルを持たずに種牡馬入りした最近の例ではハクサンムーンが記憶に新しいが、2013年のG2・セントウルSで世界の短距離王・ロードカナロアを下して大金星を挙げるなど強烈なインパクトを残したほか、G1入着実績も豊富だった。氏もブログの中で「(種牡馬入りの)ためにももうひとつタイトルが欲しいところ」と思うところを語っているように、やはりタイトルの上積みは至上命題といっていい。
今回は残念ながら2つ目のタイトル獲得とはならなかったが、スランプに入っているとはいえまだ6歳。決して若くはないものの、まだ老け込むような年齢ではないはず。なんとか名物オーナーの夢の一翼を担ってほしいものだ。