オウケンムーンが6馬身差レコードでクラシックに名乗り! オウケンブルースリ×エリシオという時代に逆行した”雑草”は「競馬の常識」を覆せるか
しかし、今はディープインパクトを筆頭としたサンデー系全盛の時代。競馬界に「成功の法則」として散りばめられたサンデーの血をまったく持たない上に、まさに「コテコテ」と表現せざるを得ないステイヤー血統である本馬が成功する可能性は常識的に低いのかもしれない。
今は菊花賞馬でさえ、サクラバクシンオーの血を持っている時代なのだ。今回の勝ち方は来年のクラシックを強く意識させられるだけの圧勝劇だったが、あくまで2歳の未勝利戦。今後、相手が強くなるにつれ、思うような競馬をすることが難しくなっていくことは必然だ。
ただ、そう冷静に捉えているファンには、あえて”本家”ブルース・リーの名言を贈りたい。
オウケンムーンの馬名の由来は「冠名+母名の一部」ということになっているが、ブルース・リー・ファンにとって「月」とくれば、代表作の映画『燃えよドラゴン』の名フレーズ「Don’t Think, Feel!(考えるな、感じろ!)」が思い出される。
そのセリフには続きがあり、ブルース・リーは「It’s like a finger pointing away to the moon. Don’t concentrate on the finger, or you will miss all the heavenly glory!(月を指差すのと似たようなものだ。指先ばかりを見ていては、その先にある月(栄光)を掴めないぞ!)」という言葉を残している。
確かに、常識的に考えればオウケンブルースリ産駒で、母父エリシオのオウケンムーンが来年のクラシックで大活躍している可能性は低いのかもしれない。
しかし、血統は地味ながら、本馬が天下のノーザンファームで生産され、牝馬三冠馬のアパパネなど、数多くの名馬を手掛ける国枝栄厩舎に所属している点を忘れてはならない。
だからこそブルース・リーの「考えるな、感じろ!」という言葉通り、まずは目先の常識や理論に捕らわれず、あの強烈なインパクトを残したレースを見て感じたままの期待を抱きたい。