ローズS(G2)武豊リスグラシューとエアスピネルの共通点!? 善戦マンの”汚名”返上へ阪神1800mは「最高」の舞台
そして、周囲を囲まれた馬群の中心に入ったことで身動きが取れないリスグラシューは、前が下がってきた影響でじょじょにポジションを落としている。スムーズな道中でなかったことは、4つのコーナーの通過順位「10-9-9-11」を見ても明らか。特にホウオウパフュームに外からがっちりガードされ結局、最後の直線で馬群がばらけるまでは動くに動けない時間が続いた。結果的には、これが致命傷となる。
最後の直線で猛然と追い上げたリスグラシューだったが、レース後に武豊騎手が「両サイドからガッチリぶつけられるキツいレース展開」と漏らしたように、途中で狭くなったり馬群を縫うのに苦労したりと、なんとか抜け出したのはソウルスターリングとモズカッチャンとで大勢が決した後だった。
上がり3ハロンは、最速を記録したアドマイヤミヤビとディアドラから0.3秒遅い34.2秒。スムーズならもう少しやれたことは間違いないが、矢作調教師は「すんなり競馬できても勝てたかどうか」と話した通り、勝ったソウルスターリングには完敗の内容だった。
いずれにせよ、期待ハズレの結果に終わったオークスが、リスグラシューにとって不本意なレースだったことは確かだ。当時の馬体重は423kg。出走メンバー中、下から2番目であり、そんな小柄な馬が馬群に揉まれて競馬をするのは、相当ハードだったに違いない。結果的には完敗だが、まだ見限るのは早計だ。
また、今回の舞台となる阪神1800mは、リスグラシューにとって限りなくベストに近い条件である可能性が高い。
本馬が阪神1800mを走ったのは、初勝利を上げた昨年9月の未勝利戦のみ。だが、そこで2歳レコードを叩き出している。1000m通過が59.5秒という2歳未勝利らしからぬタイトな流れを好位で追走し、ラスト600mを断トツの34.4秒でまとめた走破タイムは1:46.2。時計面だけなら、そのまま例年のローズSに置き換えても通用するタイムだ。本馬は、それをほぼ馬なりで叩き出している。
また、その時に4馬身置き去りにした2着馬が、後の京成杯(G3)2着のガンサリュート。これまで数々の重賞レースで好走してきたリスグラシューだが、未だにこの阪神1800mの走りがベストパフォーマンスと語る競馬評論家も多い。