アルアイン撃沈で問われる「非情」乗替わりの意義。無法の勝利至上主義も「大逆転」を食らったモズカッチャンに続く皮肉な結果
この春、アルアインを皐月賞馬に導いたのは若手の松山弘平騎手だった。皐月賞出走に向けて負けられない毎日杯(G3)で見事な一発回答。重賞勝利で人馬共に皐月賞切符を手にすると、勢いそのままに世代の頂点まで駆け上がった。
その後、2冠制覇が期待された日本ダービーでは5着に敗戦。4番人気5着は結果だけ見れば悪い内容でもなかったが、待っていたのはルメール騎手への無情な乗り替わりだった。
管理する池江泰寿調教師曰く、乗り替わりの理由は「菊花賞は騎手の経験値が勝敗に大きく左右する」とのこと。なるほど、それで昨年の菊花賞勝利騎手の指名となれば、ぐうの音も出ない。しかし、乗り替わりを告げられた松山騎手からすれば「経験」で降ろされては、いつまで経っても”経験”できないというのが本音だろう。
そして迎えたセントライト記念だが、結果は単勝1.7倍を裏切る2着。
ルメール騎手の騎乗には何の問題もなかった。だが、印象としては「普通に乗って、普通に負けた」といった感じだった。これなら「松山騎手が乗っているのと変わらない」のではないだろうか。もっとも、普通に乗るのが難しいのが競馬ではあるのだが……。
「不可解な乗り替わり」という点では、17日のローズS(G2)で2番人気に支持されながら7着に惨敗したモズカッチャンとM.デムーロ騎手も印象的だった。
モズカッチャンはこの春、和田竜二騎手とのコンビでフローラS(G2)を12番人気で勝利すると、オークス(G1)でもソウルスターリングに食い下がって2着。瞬く間にスターダムにのし上がった。和田騎手も相当な手応えを感じていたようで、トークショーに出演した際は打倒ソウルスターリングを誓っていた。
だが、待っていたのはデムーロ騎手への乗り替わりだった。
しかし、期待されたローズSの結果は7着。それだけでなく、和田騎手が騎乗したラビットランが重賞初勝利を上げるなど、モズカッチャン陣営にとってはこの上なく皮肉な結果となった。