【G1回顧・オークス】「三強」ライバル不在で負けられなかったシンハライト。真の決着をつける「最終決戦」は秋の秋華賞(G1)へ――
ジュエラーも、メジャーエンブレムもいない。
だからこそ池添謙一騎手とシンハライトにとって、このオークス(G1)は負けられない戦いだった。
迎えた3歳牝馬の頂上決戦。1番人気は桜花賞(G1)を僅か2㎝差で涙を飲んだシンハライト。それに続く2番人気が、トライアルのフローラS(G2)を3馬身差で圧勝したチェッキーノ。さらに3番人気がフラワーC(G3)を逃げ切ったエンジェルフェイスと、世論は桜花賞組の逆転よりも、新勢力の台頭に期待しているようだった。
レースは好スタートを切ったダンツペンダントがハナを主張し、それにゲッカコウとエンジェルフェイスが注文を付ける、オークスとしてはまずまず流れた展開で始まった。
シンハライトは内枠から僅かに遅れたスタートを切ったが、無理をせず後方へ。次々と他馬が外から被さってくる間に、後ろから3頭目までポジションが下がっていた。
一方のチェッキーノは中団外目、ビッシュは飛ばし気味の先頭集団を見る形で、中団よりやや前に位置取っていた。
1000mの通過は59.8秒。先頭から最後方までが20馬身程度の縦長の展開で、一度隊列が決まってからは大きな動きもなく第4コーナーへ。馬群が一気に凝縮されて、3歳牝馬の頂点を決める最後の直線に入った。
先頭は満を持してダンツペンダントを交わしたエンジェルフェイスが躍り出た。
だが、すぐに脚色が悪くなり、今度は外からビッシュがそれを交わす。4番人気のアットザシーサイドも必死に食らいつくが、すでに限界が来ている。シンハライトは外に持ち出さず、馬群の真ん中で隙間を狙っていた。
最後の200mを切って、先頭はM.デムーロとビッシュ。フローラSでは1番人気に推されて最後方からチェッキーノと互角の末脚を使った素質馬が、ついにそのベールを脱いだ。それを外から猛然とチェッキーノが追い込んでくる。
しかし、その瞬間、馬群の中からシンハライトがはじけ飛んできた。