【G1回顧・オークス】「三強」ライバル不在で負けられなかったシンハライト。真の決着をつける「最終決戦」は秋の秋華賞(G1)へ――
粘り込みを図ったビッシュをあっという間に捉えると、食い下がるチェッキーノを従えたままゴール。まさに一瞬の切れ味で格の違いを示したシンハライトが、ライバルが不在の中で見事桜花賞の雪辱を晴らし、改めてその強さを見せつけた。
「桜花賞の悔しさを少し晴らせました」
勝った池添騎手は喜びを表現するシーンもあったが、それよりも1番人気の重責を果たしたこと、そしてシンハライトの桜花賞を始め、ここまで春のG1戦線で悔しい負けを繰り返していた無念を晴らせた喜びを噛みしめているようだった。
そして、池添騎手が心から手放しで喜べない理由がもう一つある。
「秋は桜花賞馬もマイルCを制した牝馬も出てくると思うので、3歳牝馬No.1を決めるレースになると思う」
池添騎手がこんな言葉で勝利騎手インタビューを締めくくったように、このオークスには桜花賞馬ジュエラーも、NHKマイルCを勝ったメジャーエンブレムもいない。
だからこそ、この勝利はシンハライトにとって”責務”のようなものであり、今年の3歳牝馬「三強」の一角であるための”手形”のようなものだという自覚が、池添騎手の中にもあったのだろう。
1600mの戦いで、そのスピードを見せつけたジュエラーとメジャーエンブレム。
2400mの戦いで、そのスタミナを見せつけたシンハライト。
秋に控える最後の決戦・秋華賞(G1)は、お互いにとって「ちょうど中間の距離となる2000m」で行われる。
今年の3歳牝馬No.1を決める壮絶な3頭の争いの中では、このオークスですら「通過点」に過ぎないのかもしれない――。そんな気がするほど、今日のシンハライトと池添騎手の走りは”見えないライバルたち”を追う鬼気迫るものがあった。
今からもう、秋が本当に楽しみである。