秋華賞で「超強力逃げ馬」アエロリットとカワキタエンカの主導権争い勃発!?「展開」のカギを握る横山典弘が「理想像」とする歴史的名牝の存在とは
横山典騎手がそのマージンと引き換えに手に入れたのが、ラスト400mの加速だ。息を入れたことで最後の直線で再加速したアエロリットとは対照的に、逃げ馬を捉えるためにラスト800m地点から脚を使わされている後続馬。その差が、最後の楽勝劇に見える結果に繋がっている。
馬の能力も然ることながら、横山典騎手が「マジック」といえる巧みなペースコントロールがあってこその結果だろう。見た目はあまりに鮮やかだが、鞍上の”魔法”が完璧にハマった結果であることは考慮が必要だ。
そこで肝心になってくるのが、本番の秋華賞でも、そのマジックが通用するのか否かということだ。
最も気になるのは、やはり強力なメンバーが揃ったローズS(G2)で1000m通過が58.6秒という高速ラップを刻んだカワキタエンカの存在だろう。
同じ芝の1800mでアエロリットが1000m通過58.3秒、カワキタエンカが58.6秒。コース形態は大き異なるが、ペース自体はわずか0.3秒の差しかない。敗れはしたものの、同世代の強力メンバーを相手に2着に踏ん張ったカワキタエンカが、一介の逃げ馬ではないことは明らかといえるだろう。
果たして、どちらがハナを切って主導権を掴むのか。もしもハナ争いが激化すれば、最悪の場合「共倒れ」の可能性もある。
その上で重要なポイントは以下の3つだ。
1つ目は2頭が「1800m以上の距離を未経験」であるという点だ。2頭とも桜花賞で敗れた後はオークスを回避。今回が初の2000m挑戦となるが、アエロリットの菊沢隆徳調教師が「距離はやってみないと分からない」と述べれば、カワキタエンカの浜田多実雄調教師も「距離が(200m)延びているので、折り合いがカギ」と慎重な姿勢を崩していない。
したがって、レース本番での主導権争いに関しても、鞍上の距離への心理は働きそうだ。
2つ目は、この2頭の前走の鞍上が共に横山典騎手だったという点。カワキタエンカは今回、北村友一騎手に乗り替わりとなるが、この点は引き続き主戦騎手が騎乗するアエロリットに分がありそうだ。実際にカワキタエンカのローズSではレース後、浜田調教師が「上手く乗ってくれた。速かったけど、この馬のギリギリのペースで運んでくれた」と横山典騎手の騎乗を絶賛。