武豊リスグラシュー「完璧」ゆえの絶望感……秋華賞で示した強さと今後
15日の秋華賞(G1)は、ディアドラが見事な差し切り勝利でG1初制覇を達成。もともと関係者内での評価はすこぶる高い馬だっただけに、その才能が開花したということだ。
2着に入ったのは、これがG1競走3度目の銀メダルとなったリスグラシュー。今回も安定した末脚を披露したが、またも栄冠には届かなかった。
武豊騎手としても、期する思いがあったのは当然。レースはスタートこそイマイチだったが、中団後ろ目で脚を溜め、短い直線を意識してか4コーナー手前から捲りの進出。直線では先に抜け出したモズカッチャンを必死で追う。武騎手としてもプラン通りだったに違いないが、唯一の誤算が、後ろからさらに鋭い脚を使ったディアドラだったということだ。
武騎手もレース後「惜しかったね。スタートの悪さもリカバリーすることができたし、この馬のレースはできた。勝ったと思ったけど…。残念」とインタビューに応えており、この馬なりのレースはできたことを口にした。今回の走りに文句をつける声はないはずだが、今年も3歳G1は未勝利に終わった。
武騎手とリスグラシューはベストを尽くした。それでも3歳牝馬路線で1度も勝てないこの状況は、やはり「アノ馬」と似通っている。
「エアスピネルですね。昨年の牡馬クラシックを完走し、どのレースでもベストといえる走りを見せながら勝利には届かず。責められる点がほとんどないが故の絶望感がありました。ただ、リスグラシューは着順でいえばエアスピネルよりも頂点に近い存在。今後の活躍に期待です」(記者)
レースぶりに文句はない。だからこそより悔しさや険しい道のりを想起させるが、今後の飛躍も十分に感じさせる存在。このコンビが栄光を掴む時を待つ。