キタサンブラックとサトノクラウンの「絆」は台風22号!? 天皇賞・秋「本命決着」へ、春古馬3冠を分け合った両雄が”同盟”を組む理由
また、良馬場ながら日本よりも時計の掛かる香港ヴァーズ(港G1)では、世界の超一流馬ハイランドリールから大金星を上げており、日本の現役馬で最も高い世界的評価を受けているという見方もあるほどだ。
ただ、そんなサトノクラウンにとって今回が3年連続の挑戦となる天皇賞・秋は、まさに「鬼門」と言えるレースだ。
共に良馬場で行われ、一昨年が18頭中17着、昨年も15頭中14着といずれも”ブービー”に大敗しているサトノクラウン。「体調面が整わず、まともに走れなかった」という声もあるが、それ以前に高速上がりの展開にキレ負けした感もあった。
しかし、今年は台風22号の影響もあって、重馬場になる可能性が高まっている。得意の力のいる馬場になれば、その能力は文句なく世界レベルだ。国内屈指のメンバーが集った今回の天皇賞・秋でも、レース当日の天候によっては、本命のキタサンブラックを押し退けて1番人気になる可能性すらある。
逆にキタサンブラックからすれば、この春を1勝1敗で終えた”最大のライバル”が急浮上する可能性がある以上、清水久詞調教師や武豊騎手は「できれば良馬場でやりたい」と口を揃えている。稍重の宝塚記念では2年連続で敗れており、陣営が良馬場を希望するのも当然か。
ただ、その一方でキタサンブラックが「逃げ馬」であるが故に、勝つには「雨が必須」というデータもある。
実は天皇賞・秋は「逃げ馬」にとって極めて不利なレースとなっている。レースが現行の2000mに変更されたのは1984年。それ以降、2002年の中山開催を除いて一貫して府中2000mで開催されているが、逃げ切ったのは1987年のニッポーテイオーただ1頭だけ。
つまり29年間、もっといえば武豊騎手がデビューした年以来、天皇賞・秋でハナを切った馬はすべて敗れているということになる。
今回の登録メンバーで、他に逃げそうなのはロードヴァンドールだけ。ただ、何が何でもハナというタイプではなく、枠順によってはキタサンブラックが主導権を握る可能性は大いにありそうだ。