JRA藤田菜七子「飛躍」の2017年。「未成年飲酒騒動」に揉まれながらも、女性騎手最多勝を更新。今年「勝ち星倍増」に至った陰に”師”の支え
2年目を迎え、ルーキーとして扱われなくなった中、少しでも男性騎手とのフィジカルの差を埋めるためにトレーナーと契約。乗鞍を求め、初めて阪神や京都といった関西圏にも遠征した。
しかし、3月を終えてわずか1勝止まり。このままでは、昨年以下の成績に終わる可能性も十分にあった。
だが、その一方で”足掻いた”成果は、確実に芽を出そうとしていた。トレーナーの指示により競馬学校時代では気付けなかった部分の足りない筋力を補い、騎乗フォームは格段に安定した。それだけでなく、自身初の阪神遠征を敢行した際に「コパノ軍団」の総帥・Dr.コパこと小林祥晃氏との関係構築に成功。結果的に藤田菜七子騎手は、今年4勝を「コパノ」の馬で上げている。
さらに新潟の「直線1000m」という自分の”得意舞台”を発見できたことも勝ち星量産に繋がった。今年3勝を直線1000mのレースで上げただけでなく、得意舞台を求めて積極的に遠征した結果、新潟だけで過半数を超える8勝を上げることに成功した。
それらに加え、今年の藤田菜七子騎手が最も「変わった」といえる点は、レースに対する積極性だ。
「今の武器は、何といってもきっぷのいい『逃げ』ですね。2年目を迎えて、レースそのものに慣れてきた部分も大きいと思いますが、最近の藤田菜七子騎手はスキあらば前に行こうとする積極性が凄く見られます。大敗することもありますが、逆にハマった時は減量騎手の恩恵が大きくものを言います。ライバルよりも斤量が軽いので、馬が簡単に止まりにくい。
その結果、昨年『0』だった逃げ切りが今年は7勝と大幅増。フィジカル面で男性騎手に劣る分、馬群の中で揉まれ弱く、今でも大外を回すことが目立つ藤田菜七子騎手ですが、逃げるなら堂々と最短距離を行けます。そういった面でも積極的な逃げは、彼女にとって理に適っている戦術と言えますね」(競馬ライター)