JRA理事長「2歳戦改革ある」ホープフルS(G1)を筆頭に「問題山積」の2歳戦に日本中央競馬会のトップが示した「見解」と「今後」
確かに、頭数が分散化してしまうリスクはあるものの、重賞レースが増えれば増えるほど、必然的に重賞ウイナーも増加する。そして「重賞勝ち」という看板を背負った馬たちがクラシック本番や、その前哨戦で激突すれば、それだけでクラシック戦線全体が賑わうという考えは、興行的には理解できるものだ。
ただ、例えば創設から4年で、それぞれ8頭、12頭、10頭、9頭と1度もフルゲートに達していない京都2歳Sの勝ち馬となったベルラップ、ドレッドノータス、カデナといったところは期待されながらも、クラシックの厚い壁にあっさりと阻まれてしまっている。
それどころか、弥生賞を勝ったカデナ以外は京都2歳S以後、オープンクラスで掲示板に載ることさえ難しいほどの苦戦が目立っているのが、京都2歳Sの置かれている現状だ。
昨年の勝ち馬グレイルは、2着に退けたタイムフライヤーがホープフルSを勝利したことから、今年のクラシックでも有力視されている。だが、仮に惨敗を繰り返すようなら、いよいよ重賞レースとしての存在意義が危ぶまれると述べても過言ではないだろう。
後藤理事長も、その辺りは理解しているようで「ただ、2歳秋から年明けまで、競走の距離も含めて今後、整備を図っていかなければならない部分はあると思っています」と具体的な計画こそなかったが、「結果を見ながら必要な調整をしていくことになるのではないでしょうか」と現状改善に向けて前向きな姿勢を示している。
「後藤理事長は元旦にJRAの公式HPを通じて『新年のご挨拶』をしましたが、その中で『JRAは今年も『お客様のための中央競馬』という理念の下、引き続き『レースの迫力』『馬の美しさ』『推理の楽しみ』が一体となった競馬の魅力を高め、夢と感動をお届けしてまいります』という旨を語られています。
ただ、その一方で小頭数のレースでは後藤理事長、延いてはJRAの掲げる『レースの迫力』『推理の楽しみ』という競馬の魅力を引き出すのは、なかなか難しいでしょうね。重賞乱立が目立つ2歳戦は、ファンからの人気もなく馬券も売れにくい状況(実際に昨年は全平地G1の中で、ホープフルSが売上ワースト2、阪神JFがワースト3だった)です。多くの馬たちが2歳戦を戦い、クラシックに進んでいく以上、現状の改善は急務でしょうね。