「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
現在、日本の競馬はサンデーサイレンス系の頂点に立つディープインパクトを筆頭に、キングカメハメハらミスタープロスペクター系、さらには昨年ブレイクしたハービンジャーなどノーザンダンサー系の産駒がしのぎを削っている状況だ。だが述べるまでもなく、それらすべてはダーレーアラビアンの系譜を継いでいる。
では逆に、日本でゴドルフィンアラビアンやバイアリータークの系譜を継いでいるのは、どういった血統の馬なのか。
ゴドルフィンアラビアンで有名なのは、1976年のダービー馬クライムカイザーだ。他にも、わりと近年ではサニングデール(高松宮記念)、カルストンライトオ(スプリンターズS)などマンノウォー系の快速馬の活躍が目立っている。
ただ、日本で凋落が著しいのはバイアリータークの方だろう。
日本でバイアリータークといえば、何といってもパーソロン系である。1984年に日本競馬史上初となる無敗でのクラシック3冠を達成したシンボリルドルフを筆頭に、その息子であるトウカイテイオー(G1・4勝)、若き武豊と名コンビだったメジロマックイーン(G1・4勝)など、日本で一時代を築いたことはあまりに有名だ。
しかし、大将格のシンボリルドルフがトウカイテイオー以降に結果を残せなかったことを始め、テイオーもマックイーンもファンが期待したほどの産駒を残せず……。
その一方でノーザンダンサー系のノーザンテーストや、ヘイロー系のサンデーサイレンスといった新たな血統が導入されるにつれ、パーソロン系は衰退の一途を辿った。現在ではギンザグリングラスというメジロマックイーン産駒が、日本におけるバイアリータークの「最後の砦」となっている。
このギンザグリングラスという名を、初めて耳にした人も多いのではないだろうか。それもそのはずでギンザグリングラスはJRAでデビューしたものの、未勝利を勝つのがやっと。3歳の夏には、早々に地方競馬の大井に移籍を果たしている。