「世界史上最強馬」フランケルの初年度産駒が欧州で躍動! 拭えない「不利」も、日本での活躍に期待大?

14戦14勝G1競走10勝のフランケル(RacingKelより)

 2010~2012年にかけ、英国のマイル~中距離G1をほぼ総なめにし14戦14勝、G1競走10勝、合計着差「76馬身」、平均着差「5.4馬身」という空前絶後の成績を残し国際レーティング最高の「140」を得た”史上最強馬”フランケル(ダンシングブレーヴが141だったが見直された)。

 この成績はもとより、レースぶりもまるで「別の生き物」のような走りを見せ、世界中を驚嘆させたフランケル。現在欧州最高の種牡馬ガリレオとKindの間に生まれた怪物は、KJ6世&QES馬のナサニエルや、4カ国でマイル重賞を制したエクセレブレーションという超がつく強豪を大人と子どもの戦いのごとく楽々退け、最強の名をほしいままにした。

 そんなフランケルが、今度は種牡馬として世界を驚かせようとしている。現状、今年デビューした産駒は5頭いるが、そのうち4頭が初戦で勝利を収めている。毎年多くの競走馬が様々な種牡馬でデビューする中、いきなりのスタートダッシュに成功した印象だ。

 世界最高レーティングの名に恥じない活躍。初年度種付け料が日本円で2000万円近いことを考えれば(ディープインパクト初年度で1200万円)、このくらいのスタートは切ってもらわねば……といったところだろうか。ディープインパクト産駒も初年度からよく走ったが、フランケルもまた同じ星の下にいるのかもしれない。

 フランケルの名は日本の競馬ファンの間でも広く知られているため、フランケル産駒が日本で走ることを期待する声も多い。すでに11年の凱旋門賞馬・デインドリームの2番仔が来年の日本デビューを予定しており、仏オークス馬スタセリタや米G1ホースのミスエーニョなど世界的名牝の仔も今年日本でデビューする運び。フランケルの血を宿した「超良血」が日本を席巻する可能性も低くはないが……。

 フランケルの父、ガリレオは、欧州では歴代でもトップクラスの種牡馬成績を収める一方、タフさよりスピードが要求される日本では泣かず飛ばずという、フランケルにとってはマイナスな事実もある。ガリレオの弟で欧州屈指の名馬であるシーザスターズも7冠牝馬ウオッカの仔などがデビューしているが、日本では活躍馬を送り出せてはいない。血統面では不利な部分がある点を否定はできないのだ。

 しかし、フランケル自身がスピードに寄った本質的にはマイラーである点、常識など通用しないレースぶりを見せたことからも、期待の声は消えていない。サンデーサイレンスが席巻し飽和状態にある日本で、フランケルが風穴を開け血統の拡がりを出してくれることを願いたいところだ。

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