ヴィクトリアマイル(G1)ソウルスターリング「復活」へC.ルメール騎手の「気持ち」は……世界的良血馬の女王返り咲き「条件」とは
しかし、そんな”温情”が完全に消え失せたのが、2018年の始動戦となった前走の阪神牝馬S(G2)だ。
単勝3.6倍の2番人気と、再び大きな期待を背負ったソウルスターリングは道中のペースが遅いと見るや、向正面から先頭集団へ進出。結果的に逃げたミスパンテールがそのまま逃げ切り、2番手のレッドアヴァンセが2着だったのだから、ルメール騎手の判断は決して間違ってはいない。
しかし、好位で最後の直線を迎えた本馬は、その後まったく伸びず……力なく馬群の中に沈んだ。
「ルメール騎手は『スローの瞬発力勝負の競馬が向いていないのかも』と敗戦を分析していましたが、それにしてもソウルスターリング以外の全馬が上がり3ハロン33秒台を計測している中、本馬だけが34.3秒というのは遅過ぎです。率直に述べて、これは『瞬発力がなくて伸び切れなかった』というよりは『完全に脚が上がっている』と述べざるを得ない内容。相当、厳しいですよ」(競馬ライター)
実際に、すでに日本でG1を2勝しているソウルスターリングだが、その血統背景はGalileo系×Monsunというバリバリの欧州血統。純粋に血統だけを見れば、ルメール騎手の日本の軽い馬場での瞬発力勝負に不安があるという主張も理解できる。
ならば百歩譲って「スローの瞬発力勝負にならなければ、ソウルスターリングが復活する余地がある」と考えても、”それ”が果たして今回のヴィクトリアマイルで起こるのだろうか。
「同じ東京マイルで行われた先週のNHKマイルC(G1)こそ、前半の半マイルが46.3秒のハイペースだったこともあり、上がり最速は勝ったケイアイノーテックの33.7秒。ソウルスターリングのキャリア最速が昨年のチューリップ賞(G3)の33.8秒なので、確かにこれならワンチャンスあるのかもしれません。
しかし、同日に同じく東京マイルで行われた湘南S(1600万下)は、前半の半マイルが48.8秒のスローペースで上がり最速が32.6秒という競馬。つまり、今の東京コースはスローで流れると『高速上がりの決着』になるコンディションということです。これでは阪神牝馬Sの二の舞が濃厚でしょう」(同)