JRAモレイラ騎手「不合格」!? 数々の”悲劇”と”矛盾”を生んだJRA騎手試験に見られる「政治色」に潜む罠
「JRAの所属騎手は表面上は個人事業主のようなものですが、体制上はJRAに雇われた正社員のようなものです。従ってJRAは所属騎手に対して生活できる環境を用意しなければなりませんし、武豊騎手が会長となる騎手会はいわばJRAにとって労働組合のようなものです。
JRA所属の”デムルメ”が誕生した翌年にJRAは、外国人騎手が所得する短期免許のハードルを大幅に上げ、さらには若手騎手の減量を3年から5年に延長しています。このあたりは、おそらく現場の騎手たちとの”折り合い”を付けた結果といえるのではないでしょうか」(同)
また昨年、JRAはエージェント制度廃止に向けて大鉈を振るったが、現場の騎手たちの猛反発に遭って、ほぼ空振りといえる改革となってしまった経緯がある。この一件を見ても騎手たちの「声」は、主催のJRAにとっても決して小さくはないということなのだろう。
世界的な名声を誇る香港の「マジックマン」のJRA本格参戦を多くの競馬ファンが心待ちにしている一方、間違いなく”モレイラショック”を受けるであろうJRA騎手たちからは前向きな声が聞かれない。そういった背景もあって、野元氏は「個人的な予測だが、モレイラが今秋の試験に合格する可能性は低いと思う」との見解を述べているようだ。
果たして、板挟みとなったJRAはどういった結論を出すのだろうか。政治の世界でよく見られる、調整期間を設けるための「保留という名の不合格」は勘弁してほしいところだが。