凱旋門賞の馬券発売は「弱みに付け込む商売」か。成功のカギを握るマカヒキの動向にJRAも冷や汗?
「海外レースを賭けの対象にするのですから、賞金なども含めてレースを開催するための費用は当然すべて向こう持ちになります。その上で、JRAが独自で馬券発売を行うのですから、売り上げはほぼ丸々純益となります。いわゆる”坊主丸儲け”のような状況になるため、仮に売上げが壊滅的でもコケることはありません。ですが、日本で得られる情報量が少ない分、何らかの形で混乱を生む可能性は決して低くないでしょうね」(記者)
発売される馬券こそ単勝、複勝、ワイド、馬連、馬単、三連複、三連単と日本の競馬ファンに馴染みのあるものばかりだが、枠順やスタート、レース中の細かいルールなどは、レース開催国によって多種多様なのが現状だ。
例えば、今月19日のユニコーンS(G3)でイーグルフェザーがレース前に落鉄したため打ち替えての出走となったが、今春のドバイシーマクラシック(G1)で日本のドゥラメンテがレース前に落鉄した際は、現地のルールで打ち替えが認められずに、そのまま発走するケースがあった。
こういったものも単に日本馬を応援しているだけならば「そういうこともある」と割り切れるかもしれないが、これが馬券を買った勝負ともなれば、話が違ってくる可能性もあるはずだ。その時の怒りの矛先はどこに向かうのか……。
JRAは、そういったファン心理も考慮しているのだろうか。
また、JRAが定める控除率は世界でも指折りの高さであり、それは海外の競馬組織や主要ブックメーカーのレートより遥かに「えげつない」。そういった現実の上で、海外のレースをJRA独自のオッズで取り扱うことは、見方によっては「海外主要ブックメーカーを利用し辛い、日本人の弱みに付け込んだ商売」と取ることもできるのだ。
いずれにせよ、メディア発表があった昨春から、わずか1年余りで始動に漕ぎつけた海外主要レースの馬券発売。素人目にも、国内よりも複雑な問題が数多く点在していることが明らかにもかかわらず、実現までに「実にスムーズ」だったという心象を抱かざるを得ない。
よく言えば「迅速な対応」であり、悪く言えば「見切り発車」的な側面が見えなくもない今回の発表。これが後々、様々な問題を引き起こし、母体であるJRAが「やはり金儲けに関してだけは超一流」などと揶揄されなければいいが、果たして。