JRA最強女王アーモンドアイ「秋華賞直行」に不安の声。武豊が泣いた「ベガはベガでも……」伝説再現へ、逆転筆頭は「アノ馬」?
この春、圧倒的な強さで牝馬2冠を達成したアーモンドアイ(牝3歳、美浦・国枝栄厩舎)。すでに「歴史的名牝」という呼び声だけでなく、「現役No.1」と評価する者もいるほど、そのパフォーマンスは計り知れない。
そんな競馬界の新たな主役が「牝馬三冠」が懸かった秋華賞(G1)へ、トライアルを挟まずに直行するローテーションを発表し、競馬ファンの間で話題を呼んでいる。
管理する国枝栄調教師によると「できるだけ馬に負担をかけないため」とのこと。確かにアーモンドアイは、この春も1月のシンザン記念(G3)からトライアルを挟まずに桜花賞(G1)へ直行する異例のローテーションで戴冠しており「蹄に不安がある」といわれている。
師の決断も馬の都合を最優先してこそとなるが、とはいえ同世代のライバルたちにとっては逆転の目が出てきたことも確かだろう。
「国枝調教師は今月のセレクトセールの際にもアーモンドアイのローテーションに関して『秋華賞後は違う世代とか、オトコ馬とかという形になる』と話しており、エリザベス女王杯だけでなく、ジャパンCや有馬記念といった現役No.1決定戦にも色気を出しています。
そうなると当然、同世代の牝馬で相手が楽な秋華賞は”お釣り”の残る仕上げにならざるを得ない。トライアルを使わずぶっつけ本番になると、なおさらそう感じます。掲げる目標が高くなる分、リスクも高くなるということです。これは逆転を狙うライバル陣営にとっては、願ってもないチャンスでしょう」(競馬記者)
実際に過去、トライアルを使わずに秋華賞へ直行して牝馬三冠を達成した馬はいない。ジェンティルドンナ、アパパネ、スティルインラブと、すべて王道トライアルのローズS(G2)から本番に挑んでいる。前身のエリザベス女王杯時代でも、メジロラモーヌはローズSを使っていた。
また、アーモンドアイと同様に春に2冠を達成し、ぶっつけでラスト1冠に挑んで敗れたのは1993年のベガが有名だ。ちなみにこの時に勝ったのがホクトベガであり「ベガはベガでもホクトベガ!」という実況は、今でも競馬ファンの間では語り草になっている。牡馬三冠を達成している武豊騎手にとっては、これが牝馬三冠の最大のチャンスだった。
「他にオークス馬だけを見ても1997年の年度代表馬エアグルーヴを筆頭に、サンテミリオン、エリモエクセル、ウメノファイバーなどがオークスを勝ちながらも、秋華賞に直行して敗れています。逆に成功例はカワカミプリンセスのみ。オークス3着からテイエムオーシャンが勝った例もありますが、難しい調整を余儀なくされることは間違いなさそうです」(同)