JRAスクリーンヒーロー産駒の大物誕生? ウインゼノビア OPクローバー賞、快勝
8月19日、札幌競馬場で行われた、芝1500m 2歳オープン戦のクローバー賞で、ウインゼノビアが快勝した。
同レースを振り返ってみよう。松岡正海騎手騎乗のウインゼノビアが絶好のスタートでハナを切った。その外から吉田隼人騎手騎乗のパブロフテソーロが競って先頭を伺うも、松岡騎手とウインゼノビアはどこ吹く風。全く動じることなくマイペースを貫いて先頭を馬なりで走る。4コーナーを回って直線に入るとパブロフテソーロと、その外から上がってきたC.ルメール騎手騎乗のクラヴィスオレアの2頭がウインゼノビアに懸命に食い下がろうとするが、松岡騎手が見計らったように2発だけムチで気合いを入れるとあっという間に2頭は置き去りにされ、ゴール前では松岡騎手は、後ろを振り向く余裕さえ見せた。まるで、12頭での併走調教をしているかのようだった。
そのウインゼノビアは、華やかな大規模牧場とは違い、1年に4〜5頭の生産という小規模牧場の村本牧場が生産した牝馬で、後に一口馬主クラブのウインレーシングクラブで1300万円という格安で募集された一頭。そんな村本牧場だが、過去には、牝馬で唯一、中央のマイルG1を春秋連覇(安田記念・マイルCS)したあのノースフライトの安田記念(G1)で、大外からノースフライトを強襲し2着して、あっと言わせた、中央5勝馬のトーワダーリンや、天皇賞・秋(G1)を制したオフサイドトラップなど、小規模ながら活躍馬を多数輩出している老舗牧場だ。
さて、同馬の血統構成を見てみると、ウインゼノビアの母は、中央では未勝利馬だが、BMSで多数活躍馬を輩出するフレンチデピュティを父に持つ、ゴシップクイーン。母の産駒からは、中央3勝馬と2勝馬が1頭ずつと、これといって目立った活躍馬も出ていなかった。父は、サンデーサイレンス系が一大勢力となった日本競馬において、モーリス、ゴールドアクターとG1馬を2頭輩出した、スクリーンヒーロー 。Roberto系の種牡馬は、時折、G1を複数勝ってしまう強い馬を輩出するのも特徴だ。今回のレースのように楽勝で逃げ切ってしまった同馬だが、その能力の根底は、タフさのあるRoberto系の父親とノーザンテーストの4 × 3のクロスではないだろうか? そういえば、あのオルフェーヴルもノーザンテーストの4× 3のクロス持ちだった。
同馬を管理するのは、2017年に開業した新人の青木孝文調教師。管理馬は日高系産馬がほとんどで、日高系の一口馬主クラブである、岡田一族関連のラフィアンターフマンクラブ(マイネル)、ウインレーシングクラブ(ウイン)、ノルマンディーオーナーズクラブと繋がりも強いようだ。ほぼ、社台・ノーザンファーム産の馬を預かっていないのも特徴だ。昆貢調教師のような気骨のある調教師を目指して欲しいものだ。
同馬のレース内容からすると、エンジンの違いで終始先頭でレースを終えたようにも思え、一介の短距離馬ではなさそうだ。それを暗示しているのが、陣営は同レースの前に「桜花賞へいいローテーションで向かうためにも、ここは勝って賞金を加算させたい」と力強く語っているのがその証だろう。大舞台への期待が膨らむ、今後が注目される一頭だ。