JRA「短距離王」ファインニードル「ゆるゆる仕上げ」に不安……昨年大敗のスプリンターズS(G1)へ問われる陣営の手腕
しかし、気になる点もあるようだ。それはファインニードルが昨年のセントウルSを制しながらも、本番のスプリンターズSで12着に沈んだことにも起因するのだが……。
「中間の調教が少し軽すぎる気がしますね。もちろん中2週の競馬ですし、陣営も『もう体は出来てるから』と特に気にした様子もないんですが。
この馬はスプリンターらしく普段から坂路を中心に仕上げられていますが、栗東の坂路で行った1週前追い切りは、川田騎手が乗っても(4ハロン)54.8秒と平凡なものでした。その気になれば52秒台を切ってくる馬ですからね。前走は重馬場で58kgを背負ったレースでしたし、もしかしたら思ったよりも反動があるのかも……」(競馬記者)
ちなみにセントウルSを勝って挑んだ昨年のスプリンターズSも、1週前追い切りでは同じ栗東の坂路で54.2秒と軽めの調整。その傾向は最終追い切りでも変わらず55.1秒を記録して出走した結果、12着に大敗している。
もっとも昨年のスプリンターズSはスタート直後に挟まれて、立て直したものの外々を回る不利があった。この結果を鵜呑みにするのは早計かもしれないが、12着は本馬にとって最大着順での敗北だ。
また、スプリンターズSが今の時期に行われるようになった2000年以降、実はセントウルSとスプリンターズSを連勝した馬は2002年のビリーヴただ1頭しかいない。
これだけを見ても、中2週のローテーションの難しさを物語っている。セントウルS自体の相性は決して悪くないのだが、2つのレースを両方勝ち切るコンディションを維持するのは、至難の業なのかもしれない。
ファインニードルがスプリンターズSを勝てばロードカナロア以来、史上5頭目の統一スプリンター。スプリント界の絶対王者の証明へ、昨年と同じ轍を踏まないためにも最終追い切りには特に注目したい。