伝説の厚切りジェイソンならぬ『厚切りルメール』が本当に「Why Japanese people!?」と叫びたかった日本競馬の問題点とは
長年の月日を費やして海外競馬に積極的に参加し、今や世界の名手の一人に数えられる武豊騎手。そんな素晴らしいお手本がいるのに、その後を追って世界に飛び出していく騎手がいないのは何故と、他の日本人騎手の消極的な姿勢に疑問を呈している。
実際にルメール自身も、何度も日本に短期免許で来日し異なった文化に触れては、それを祖国フランスの競馬に持ち込んで技術を高めていった経験がある。騎手として環境を変えて世界観を広げることの重要性を実感しており、だからこそ今の日本人騎手の姿勢に物足りなさを感じているのだ。
「日本人ジョッキーは誰一人、豊さんの後を追わない。『なんでなの?』ってすごく思う」
日本の競馬を”外”から見つめてきたルメールだからこそ感じる率直な疑問。しかし、対談の中で藤岡佑介も述べていたが、日本人騎手にとって「武豊」という存在は、やはり特別なもののようだ。言葉を選ばなければ「競馬の神様」のような存在らしい。
だからこそ、武豊が今なおどれだけ凄い偉業を達成しようとも、その後に続く騎手は「とても真似できるものではない」と割り切ってしまう傾向があるようだ。
確かに武豊という騎手は日本の競馬史においても、完全に別格の存在。競馬=武豊である。
それ故に、未だ「もし武豊が引退すれば、日本の競馬はどうなってしまうのか」と、たった一人の騎手の引退が日本競馬そのものに大きなダメージを与えるであろう現状を憂う声が後を絶たない。
確かにルメールの疑問は、外から来た人間だからこそ言える率直なものだ。だが、だからこそ今の日本競馬界が抱える問題の”核心”を突いているようにも思えた。