【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.5「名門トウショウ牧場『最後の大物』トウショウビクターが『狂気の血』を継承」
昨年10月、母スイープトウショウや天馬トウショウボーイを輩出した名門トウショウ牧場が成績不振のため閉鎖。1965年の開業以来、約半世紀の歴史に幕を下ろした。スイープトウショウを始めとした一部の繁殖牝馬はノーザンファームに引き取られ、「トウショウ」の冠名を持って走る馬も、おそらくはビクターの世代が最後となる。
したがって、トウショウビクターの登場は、あらゆる意味で遅すぎたのかもしれない。だが、彼が活躍することの意義は、競馬の一時代を彩った「トウショウ」の存在感を示す意味でも決して小さくはないはず。
そして何よりも、トウショウビクターには「最後の大物」となるに相応しい血が流れている。
父ステイゴールドは、オルフェーヴルやゴールドシップといった類まれなる能力と気難しさを兼ねた名馬を輩出。そして母スイープトウショウも、調教で立ち止まるのが当たり前といった気難しい馬だった。
しかし、その「狂気」といえる気性の激しさこそが彼らが名馬たる”力の源”であり、一度爆発すれば、常識外れの凄まじいポテンシャルを発揮する姿は競馬史の様々なシーンに残っている。トウショウビクターは、そんな”狂気の血”を引いているのだ。
秘めたる能力の片鱗は見せた。あとは最後の一冠・菊花賞に向けての時間との戦いもある。トウショウビクターのデビューは本当に遅すぎたのか。その答えが秋には見えているかもしれない。