【夏季特別企画】史上最強世代・最後の一冠『菊花賞の行方を占う』Vol.6「武豊に『フランスへ行きましょう!』と言わせた超良血馬が帰還!名牝エアグルーヴの末裔はラスト一冠に間に合うのか」

ポルトフォイユ(JBISサーチ公式サイトより)

「フランスに行きましょう!」

 まだ新馬戦を勝ったばかりの若駒に対して、日本競馬界で”世界”に最も近い男から、そんな言葉が飛び出した。もちろんリップサービスだろうが、その表情からは言葉に対する責任が感じ取れた。

 今から約1年前の昨年6月28日、阪神で行われた芝1800mの新馬戦のことだった。歴史的名牝エアグルーヴの孫となるポルトフォイユは、後続に5馬身差を付けて圧勝。メインレースに宝塚記念(G1)が控えていたこともあって、詰め掛けた大勢の観衆の度肝を抜いた。

「とてもいい馬で、道中はノメっていて驚いて走っていましたが、直線ではしっかりと伸びてくれました。これ以上距離が延びても対応できますし、まだ若さはありますが能力の高い馬。クラシックに乗せたい馬ですね」

 そう手放しの称賛を送ったのが、鞍上の武豊騎手だ。ポルトフォイユの父ディープインパクトはもちろん、母ポルトフィーノ、母方の祖父クロフネ、祖母エアグルーヴに至るまで、すべての主戦をこなしてきた名手にとって、ポルトフォイユの圧勝デビューは感慨深いものがあったのだろう。冒頭のリップサービスが出たのも、そのすぐ後のことだ。

 週末の雨の影響で、良発表ながらもぬかるんだ馬場。1000m通過が59.2秒は、同日の宝塚記念の1000m通過が62.5秒であったことを鑑みても、新馬戦としては平均を上回る厳しい流れだ。最後の直線では、前を走っていた馬たちが軒並み一杯になって脱落していく中、ポルトフォイユだけが最後まで伸び続けていた。

 もちろん、新馬戦を勝っただけで来年のクラシック、ましてやフランス……つまりは凱旋門賞(仏G1)へというのは常識的には早計だ。だが、1983年にオークスを制したダイナカールから脈々と受け継がれてきた名門の血筋は、誰よりも世界を知る武豊でさえ”早計”にさせるほどの魅力と底力を持っていることも確かだ。

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